くちづけ

宅間孝行の小説、「くちづけ」読みました。黄色いブックカバーと、表紙のタイトルの文字が大好き。
こんなに真っ直ぐに知的障害者について描いた小説を私は他に知らなくて、なんか初めて読むジャンルの小説のような気がした。脚本家でもあるからか、会話基調の表現が立体感あって、心つかまれたな。

率直すぎるみんなの言葉に、心あたたまるし、声に出して笑うほどおかしい。めちゃくちゃ難しいテーマ扱ってて、生きることとか、頼ることとか、ちゃんとすることとか、そういうの。
だけど、なんだろう、馬鹿とか、低レベルとか、キモいとか、そんなのどうでも良くなるくらい純粋な心を持つ知的障害者の登場人物たちの良い部分が、よく見える。

「ちゃんとする」ってなんだろう。ほんとに。

「感激すると思考が停止」「本当にこの人は感激屋さんなんだな」
「うーやんたちも、神様に選ばれた人たちなんだよ」「いつまでもいつまでも純粋な心を持ってる人たちはあなたたちしかいない、て神様が思って選んでくれたんだよ」「俺も神様?」
「あの子たちがちゃんとしなくちゃ駄目なんて言うなよ....大体ちゃんとするって何だよ....何だよ...」
「マコの中には、マコの人生には自分しかいなかったんだ。」