三十の反撃

「アーモンド」がおもしろかったから、ソン·ウォンピョン第2作。
パラサイトの時も思ったけど、韓国的だなと思うのは展開が早いところ。日本だったらクライマックス、というようなところで終わらせずに、さらに前へ前へ物語を進めようとするような。
そうやってきっちり物語としても質が高い上に、鋭い観察眼が作者にはある。
あとがきにの作者の言葉が胸に刺さる。「私は、自分自身とあなたたちに聞きたかった。どんな大人になりたいのかと。今という時間をどのように記憶し、刻んでいくつもりなのかと。」

「恥を恥じとも思わないで生きてると、いつか人生の全てを恥じる時が来ますよ。」
「ねえジへ、人がいつどうやって保守化するかわかる?はっきりした自分の財産ができた時だよ。」
「いいなという言葉は、むやみに使うものではない。」
「こういうのは好きじゃない。人に何もしてあげられないのに流れる涙。」
「計算しない愛は傷になる。」
「食べていくために、という言葉は、私の一番嫌いな言葉です。」
「生きていればいずれわかるよ。誰でも心の奥底に、いろんな姿をした人が何層にも重なってたくさん入ってるってことを。」