イルカ

ふたたび、よしもとばなな
ちょっとオカルトすぎると酔ってしまうけれど。
出産の話、他人事じゃない。
よしもとばなな作品の主人公は、まったく卑屈じゃないところがいい。絶対に悪びれず、時々、鼻につくほど、自信に満ちあふれているところ。そういう生き方もできるのだと、提示してくれるところ。


「人生はいくつになっても必ず新鮮な気分になれる出来事が待っているものだ。」
「ある瞬間、突然何かをしたくなる、また何かをやめたくなる。そのときの気持ちこそが私にとって生きている証だったのだ。」
「人は人に優しくされたいのだな」
「自分のことだけでいっぱいなうちに他の人とくっついたら、あんな淋しい家族を作ってしまう。」
「「今日はしゃべる気分ではないので、しゃべれません」とか「あなたが好きだけれど、一生愛せるほどではない」とか、そういう厳密さを持った会話ができて、その上人や自分を放っておける、執念深さがない、数少ない人だった。」「寺での最後の夜は、誰も泣いてないのに全てが水彩でにじんでいるようだった。」
「いつでもさっきまでいっしょにいた人たちの声が、海鳴りのように耳に残っていた。」
「そういう約束事の中に、メンバーの誰もが生きていないのよ。」
「もういるものを、いないことにすることだけは、絶対にできないのだ。」
「風や光が体の中を通っていくような瞬間だった。」