誰か故郷を想はざる

寺山修司の故郷、青森。
アルコール中毒だった父。銃口を息子の胸に突きつける。息子に心中を強いる母。やさしく立っている廃墟。
憎悪のひそむ、コミュニケーションを必要としない家庭。
こんなにも小さい頃の記憶があって、ダイレクトに伝わる表現能力が羨ましい。ビビットに刻まれた理不尽で捨て場のない記憶というのがたくさんあったのだろう。

数字の予言を読み取ること。こういうところにこそ、才能を感じる。

「家畜が食えるなら、親だって食えるのだ。」
「ぼくは半分、カタツムリ」
「人に好かれていい子になって
おちてゆくときゃ
ひとりじゃないか」

私の中の東北は、厳しくて、あたたかい。