生きる演技

町屋良平の最新作、読みました。 今回の本は、難解で、読むのに時間がかかった。どんどん、この人の本は複雑になっていく気がする。 でも、扱うテーマがいつもおもしろくて、自分の気になってたことを、すごく高度な次元で突き詰めて考えてくれてる感じがす…

ホールドオーバーズ

今年のクリスマスは、ホールドオーバーズを見ました。 良い映画でした。 特に、タリー君の役者さんが、繊細で生意気でいろんな表情があって好きになった。 頭が切れる役、似合ってました。 最初、5人の生徒がだんだん仲深めてくドラマかと思ったら、まさかの…

海に眠るダイヤモンド

圧巻のドラマでした。 壮大なスケールと重厚な人間模様を描いた端島の物語で、シリアスな展開もたくさんありつつ、心に残り続けるキラキラとした美しい場面がたくさんあった。 それぞれの、真っ直ぐな愛が届いて、毎回けっこう泣いてました。 特に、端島での…

夜明けのすべて

映画が良かったと聞いたので、先に原作を見てみることにした。 なんだろう、目には見えないものに取り憑かれて人生が狂ってしまったような若者の苦労みたいなものが、わかりやすく伝わってくる作品だった。 健康を損なったことをきっかけに、人生が一変して…

獣の夜

森絵都の新作。 コロナ禍をテーマにした短編集かな。 こんなに親近感のある作家さんもなかなかいない。 けっこうまとまったストーリーが多かったのだけど、森絵都さんは、もっと好き放題な短編が好きかも。 みんなが、大きかったり小さかったりする痛みを抱…

穂村弘の、こんなところで。

好きな人たくさん出てる対談集見つけると、とても嬉しい。 変人の話はいつだっておもしろい。 アラーキー写真もやっぱりすごい。 錚々たるメンバーの中で、藤野可織さんとか、いちばん興味持ったかも。何もかもをめんどくさいと言えてしまう正直さに魅力を感…

エムワン

今年は敗者復活からリアルタイムで見れたー。 個人的には、敗者復活、ダンビラが優勝でした。 虫を表情で表現できると思ってるところだけでもう天才。アメージンググレースも大好き。 カベポスターも良かったけどなあ。Bブロックがレベル高かったー。 ドンデ…

この世の喜びよ

井戸川射子さんの芥川賞受賞作。 すごく淡々としていて、読んでたら眠くなってしまう。 とても描写的。これでもかってくらい、どうでも良いようなことも描写しているし、思考の無頓着さのようなものも、そのまま描かれてるから読みにくいのかな。 子育てを扱…

台風クラブ

なんだか、ずっと、夢を見てるような映画だった。すごかった。 中学生の、わけの分からない不安定な心理状態の中を、彷徨い続ける映画に思えた。 ミチコが襲われるところとか、本当に怖かったし。 下着姿で台風の中、みんなで踊り狂うシーンの絵力がすごくて…

happyend

新宿シネマート、初めて行ったら雰囲気いいな。ずっと見たかった映画、見に行きました。 俳優陣が、すごく良かった。ずっと、画面が切れ味ある。ゆーたのカリスマ感。見てるだけで、絵になる。あたろうとみいちゃんもかわいかった。トムの包容力も。男女関係…

さよならバグ・チルドレン、寂しさでしか殺せない最強のうさぎ

山田航の歌集を2つ読んだ。 なんだろう、とても繊細な心の持ち主で、失望とか、無能感とか、そういうものの近くで生きてきた人なのかなと思う。 世界を見つめる視線がどこか、写真のように無機質に思える時があって、淡々としているのだけど。執着も感じる。…

世界学校

フラワーしげるさんの短歌集。 世の中への皮肉や反抗が、少し乱暴な形で投げかけられているようで、ロックの精神を感じる。 粗いかんじが心地よくて、地続きでつながってる気がする。でも時々優しくて、胸に残る歌集だと思った。 「映画をみてなにかを知った…

あんのこと

河合優実、どの作品見てもほんとにすごい。 作品にばっちり馴染んでるのに、存在感があって、細部まで目で追ってしまう。 いろんな苦しみを抱えて、それでもまっとうに生きたいと願ってもがく姿が、強く心に残る。 自責の念。何度も何度も立ち上がろうとして…

微笑みながら消えていく

古本屋で100円で見つけて、いいんですかと思いながら買ってしまった。 銀色夏生さんの本は、言葉と写真の両方を楽しめるから好き。 この人の撮る写真は、フィルムで風景や植物を撮ったりするのだけど、なんとなく哀しくて美しいものや、ささやかで可憐で幸せ…

左岸

江國香織と、辻仁成の共作、左岸だけ、とりあえず読みました。 一人の女の人の人生を、幼少期から老化まで、見事に書ききっていてすごいなあと思う。超大作。 ちょっと、登場人物たちが事故に遭いすぎるのがさすがに気になるけれど。 言いづらいようなことも…

日記(2024年11月)

いつまで続くのかしら、って呟いたおばあちゃん。 寒くなってきたから、ひとりで生きる準備もしなくちゃ。 二人で電車乗ってお出かけしたりするの、嬉しくて。 山の中を歩く。谷の底には、誰もいなくて、新種の生き物として発見されちゃう。 楽しいこと、た…

アフターサン

人に勧められて見てみたのだけど。 ちょっと、難解な映画だった。 父親が自死したのだろうという雰囲気はたくさん感じるのだけど、それが確証に変わるのは難しくて、その前提がないとなかなか、なんの映像なんだろうって観ながら思ってしまった。 胸がぎゅっ…

カンガルー日和

村上春樹の短編集。 とても上質で、するすると読んでしまう心地よさがある。 特に、あしか祭りが気に入った。 何かのメタファーとしてつくる物語みたいなことを、小説というのだろうか。最近、小説の定義がわからなくなってる。 だけど、村上春樹の小説は、…

LISTEN

実用書や啓発本は普段は読まないのだけど、知り合いに勧められて、読んだらおもしろかった。 世の中の人が、どれだけ話を聞いて欲しがってるか、わかった。聞いてもらえないと、人は孤独になる。人とのつながりを感じられない人が増えているんだ。 事実の奥…

村上春樹 職業としての小説家

興味深い話が、たくさん書いてあった。 とても、個人主義的な人だなあと思う。 言わばプライベートな活動が、これだけたくさんの人へ普遍的につながってくるというのがすごい。 村上春樹の小説というものの捉え方がわかったから、少しだけ著者への見方も変わ…

super happy forever

良い映画だった!まず第一に、失くしもの常習犯の私としては、ものを失くしてしまったときの気持ちが痛いほどわかる。特に、誰かからもらったりしたものとか、大事なものとか、大事にしてないわけじゃないけど、なぜかなくなってしまって、全然覚えてなくて、…

civil war 〜アメリカ最後の日〜

戦争映画はいくつか見てきたけれど、すごく鮮明に、写真家達の目を通して戦争の実態のようなものを捉えた映画で、自分も当事者になったような気がした。 生と死が、目の前にあって、自分がどちらに分類されるかギリギリまでわからなくて、軽率な行動によって…

ゴールデンコンビ

アマプラのゴールデンコンビみた。 ロコディの堂前くんと男性ぶらんこの平井くんのコンビ、ゆるかわいいけどストロングでとても好き。 野田くんとくるまくんは、二人とも男子校ノリっぽいけど最高に機転が利くしアドリブ能力高くておもしろいなあ。 それから…

君がくれたラブストーリー 2024

シベリア少女鉄道っていう劇団、初めてみました。ウレロに関わってた人が代表なのね。 佐久間さんのラジオで知って、ラフラフのありさちゃんも出てた。 前半、何がおもしろいんだろうって見てたんだけど、あんなに壮大なフリだったとは。そのおかげで、後半…

白と黒のスプーン

韓国の料理バトル番組、夢中になって一気見してしまった! 演出や編集が秀逸で、料理人たち一人一人の個性がすごくて。彼らの料理への情熱が、たくさん伝わってきて本当におもしろかった。 発想やアイディアと、経験、技術。どっちも持っていないと残れないハ…

日記 (2024年10月)

さらっと8年。何を手に入れたのか把握しきれないくらい、たくさんのものをもらってる。 上手くいかなくっても、いいじゃないか。やってみれば。 ラブレターを、2枚書くような日。 なんかもう本当、幸せだ。 電車で懸垂トレーニングをするおじさん。真っ黒な…

生殖記

朝井リョウの最新作。 正欲以降、新たな境地に達してしまってる感がすごい、傑作です。生殖本能による進行という斬新な構造と、現代社会を見つめる解像度の高さが見事です。 成長とか、改善とか、ほんとに意味ないのにって思ってた自分と主人公が重なる。 ど…

ブルーマリッジ

カツセマサヒコの3作目。 同世代、という感じを強く受ける作家さん。 ライフステージど真ん中の小説を書いてくれるから、痛いくらい共感できる。 今回は、結婚について。 大事なことを、何も話さないまま、プロポーズされて、はいと答えてめでたしめでたし…

初恋の悪魔

久しぶりの坂元裕二作品。 いつも、孤独を抱える人への優しいまなざしと、人と人が出会う喜びを表現してくれる。世の中に対して、諦めることなく強いメッセージを残してくれるから、この人は本当にかっこいい。 コミカルで楽しいけど、後半に行くにつれてス…

火車

宮部みゆき作品、久しぶりに読みました。 山本周五郎賞とったやつなんですね。 とても骨太で、しかも借金をはじめ現代の地獄のあまりの深さを教えてくれるような作品。 クレジットカードの怖さもよくわかって、日本ではそういう教育、全然されていないよなっ…