2021-01-01から1年間の記事一覧

プラネタリウムのふたご

いしいしんじ。なんだか、外国の子ども向けの童話を読んでるみたい。長靴下のピッピとか、そういうの。 本人は変わっているらしいのだけど、すごく真っ当な物語の書き手だと思った。本人もふたごだって。 「ああいう見世物は、ひとりで見にいくもんじゃない…

あなたのためだけの短歌

木下龍也。やっぱりすごい。 言葉の感覚、才能なんだ。「あさがおを通過するたびきれいってつぶやくきみと行間をゆく」 「いじわるな星だとしても母さんがそこにいるなら生まれてみるよ」 「飛び方を教えてくれてありがとう空はこんなに重いんですね」 「ふ…

世界泥棒

すごすぎる。 こんなふうな小説に、だれが正当な評価なんて下すことができるだろう、と思う。 改行も主語もほとんどなしで、圧倒的に濃密な文章。タイトルや表紙も素晴らしい。 会社員をしながら書いたというのは、本当に尊敬に値すると思う。「わたしたちの…

きみのためのバラ

池澤夏樹の書く文章が好き。静かな感じがする。 東京が若くて子供っぽくて、プラスチックだという感覚。やっぱり、ことばにはできないものを、容易にことばにはしてしまうひとがいるのだなあ。「今日と明日と明後日を生きるしかないのよ。」 「一生に一度の…

My friends forever

原題は、「the cure」っていうのね。 ちょっとだけStand by meみたい。 なんてきれいな男の子たちなんだろう。 天使みたい。 Pureな友情を信じてみたい。

彼岸花が咲く島

こういうファンタジー系の本は、久しぶりに読んだ。昔は、上橋菜穂子とか大好きだったんだけど、今はあんまり得意じゃなくなってしまった。上手く入り込めなくなっちゃった。母語じゃない言葉で戦ってるの、本当にすごい。

トラペジウム

忙しいだろうに。高山一実さんの作品。 やっぱり、処女作でもあるし、素人に近いと思ってしまう部分もあって質のいい小説ではないかもしれない。 だけど表紙のイラストが好き。 そして、ラストが好き。 「初めてみた時から、光ってました。」 ストーリーやデ…

ノッティング・ヒルの恋人

It was a lovely film. ジュリア·ロバーツきれいだった。 「I'm also a girl standing in front of a boy asking him to love her. 」イギリスなまりの英語はやっぱり品があって素敵。それから、ジョークもsarcasticなところがかっこいいです。アメリカとイ…

The W

最近、お笑い番組をみて異常に感動してしまう。 キングオブコント、ドラフトコント、the W。どれも素晴らしくて、うっかり泣いてしまいそうになる。 今回は、Aマッソと天才ピアニストよかったなー。完成度高くて、発想が飛びぬけてて、実力が追いついてて大…

クチュクチュバーン

ぶっ飛びすぎてお手上げです。 なにがどうなってどうやったらこうなるのか、全然わかりません。 どんなに努力したって、感覚の違いとしか言いようがないからあきらめてもいいかしら。

Hi fidelity

おもしろかった! 映像の撮り方も斬新で、映画全体がとてもポップでシャープで。コメディだけど刺してくるところが。 自由な生き方を、少しずつ死んでいく自殺だというとことか、現実的な問題の見えないファンタジーに疲れるところとか。 そして何より、主人…

海をあげる

海をあげる、タイトルや装丁からとても素敵な本です。でも、中身は強いメッセージ性に満ちた本。 本屋大賞ノンフィクション部門の受賞スピーチを聞いて、言葉の選び方が非常に慎重で適切で力のある方だと思いました。私も、落ち着いて、自分の言葉で、自分の…

Sting

脚本がすごい。 Classicで軽やかで退屈しなくて品があってオシャレな良い映画でした。 やっぱり、アメリカのレトロな演出や衣装にこころつかまれる。 主人公2人のかっこいいこと。 殿堂入り、というかんじです。

叶えられた祈り

トルーマン・カポーティの作品を、はじめて読みました。「ティファニーで朝食を」を書いたひとなんだね。 文学って、芸術作品にもなり得るんだなあって、改めて思った。 1ページ目で、なぜだかもう泣きそうだった。 「まだ汚れていない怪獣を探したいです。…

泣くかもしれない

ホームレスハートの歌う「泣くかもしれない」を聞いて、ガツンと殴られたみたい。 ほんとにすごい歌だから、説明なんていらないね。 一曲でこんなにストレートに心が動くことなんてめったにないのに。感情がぶわっと広がるこの感覚を忘れないでいたい。

決意

誕生日まで1週間。 23歳の私は、なかなかよくがんばりました。 はじめてのことがたくさんあったけれど、注意深くなんとかここまでやり遂げたこと、好きを手放さないで動けたこと、少しはほめてあげたい。 来年はね、やっぱり、もう少しだけ、自分のことを…

声をかける

声をかけられる人でいたいなあ、と思う。 今日、帰りのフェリーで、行きも同じ便に乗ってましたよね、って声をかけてくれる男の子がいて、そこから3時間半、フェリーの中でしゃべり倒した。 名前もわかんないのに恋愛相談したり、将来の夢を話したり。すっ…

旅のテーマソング

旅する時、大体その旅の間中口ずさんでしまうようなテーマソングがある。 トルコの時はリーガルリリーのwhite out、インドの時はかりゆしのオワリハジマリ、モロッコの時はnico touches the wallsの妄想隊員A、軽井沢はandymoriの16と言うように。 今回は、…

旅ドロップ

フェリーの中で読んだ。 エッセイを読むと、著者のことに詳しくなって、もう友達みたい。 私も、自分が身軽でない日がくるなんて、思ってもみなかった。ひどくさびしい感情の表現の仕方が適切でかっこいい。「旅にでるとき、私はいつも、ちっぽけな子供に戻…

2021年12月 日記

12月だね。浮きあしだってしまうね。 雪がつもりました。堂々と冬を迎えたい。エロを求めてもらっても困るなあという気持ち。本当に楽しい時間っていうのは、記憶にも残らないのかも。あたたかい気持ちだけが残る。昔の友達に会う時、どういう顔をしたらい…

巡礼者たち

本当に、久しぶりにアメリカの小説を読んだ。 やっぱり、なんとなく、著者と翻訳家の二層になることが心地悪くて、なるべく原文で読みたいのだけれど。 エリザベス·ギルバートの短編集。 「デニーブラウンの知らなかったこと」をはじめ、12篇。 どれも、静…

ニキ

おもしろかった! ぜんぜん生半可じゃなく手痛いところが。だけど展開が早くて重すぎないところ。とっても的確な表現にあふれてるところ。 地球人に、なりたい気持ち。 「僕は僕の話しかできない。」 「自分の大事な部分をクローゼットの中に隠して生きてい…

十五歳の残像

15歳の頃、何を考えてただろう。 はじめてアメリカで暮らして、自分のできることの少なさに打ちのめされるとか同時に、今よりもずっと前向きな気持ちで世界を見つめていた気がする。 いろんなひとの、個人的な話を聞くのはやっぱりおもしろい。甲斐よしひ…

ゴールドラッシュ

どうやったって理解のできない作品というものが世の中にはたくさんあって、そういうものこそが傑作となりうることがあるし、共感だけではないから作品を享受することは刺激的になりうる。 著者のことは、尾崎世界観がファンだと公言してて知りました。強い人…

ディストラクション・ベイビーズ

柳楽優弥と村上虹郎の兄弟だなんて、最高じゃないか。 俳優さんが豪華で、存在感が戦ってて良い映画だった。池松壮亮や北村匠海も出ててね。小松菜奈もかっこよかった。 だけど、ほとんどセリフないのに圧倒的な柳楽優弥に脱帽でした。なんだろうね、生まれ…

オルタネート

加藤シゲアキの最新作。おもしろかった。 この人の印象は、すっごくバランスが良いひと。 小説にもそれが出ている気がして、幅広い対象に受け入れられるような完成度の高い作品だと思いました。 テレビとかで拝見していれば、人柄も温厚すぎてあまり鋭さが見…

泣く大人

私は、小さい頃から、自分に合った本をおすすめしてくれるとっても気の合う友だちがほしいと夢みてきたけれど、最近エッセイをよみはじめて、そんなものはいらないかもしれないと思っている。 エッセイでは、私の大好きな作家さんたちが、きちんと、影響を受…

三十の反撃

「アーモンド」がおもしろかったから、ソン·ウォンピョン第2作。 パラサイトの時も思ったけど、韓国的だなと思うのは展開が早いところ。日本だったらクライマックス、というようなところで終わらせずに、さらに前へ前へ物語を進めようとするような。 そうや…

眼にて云う

「だめでしょう とまりませんな」からはじまって「あなたの方からみたらずいぶんさんたんたるけしきでしょうが わたくしから見えるのは やっぱりきれいな青ぞらと すきとおったかぜばかりです。」だって。 血の止まらない死にかけの宮沢賢治は、きれいなもの…

小説以外

エッセイは、やっぱり、作家さんの人間らしいところが見れて興味深い。 恩田陸、本当にミステリが好きで、物語が好きで、そして仕事人。 たくさんの小説を送り出してくれてありがとうございます。 恩田陸の小説は幅が広すぎて読めば読むほど作者のイメージが…