7月24日通り

吉田修一の小説。

こういう、淡々とした日常が描かれてる作品、けっこう好きだな。

大したことはあんまり起こんないけど、人の内側で巻き起こる嵐、内面の変化というのに、私は興味がある。

リスボンは、行ったことない。

間違えないように選んでしまうの、分かるなあ。

これから過ごす今は、全部未来だから、未来を失ってしまったら、現在が生きられなくなってしまうとか、思うのかも。

ちゃんと間違うって、どこまでやればいいんだろう。

 

「そして私は、昔からその観客なのだ。憧れるような眼差しを舞台に向け、ちゃんと拍手を送ってあげる、花束を抱えた女なのだ」

「若くて美しいということが、こんなにも人を黙らせてしまうことを、私はこのとき初めて知った」

「わたしたちはどんなことでも想像できる、なにも知らないことについては」

「間違ってもいい、それでも誰かの胸に飛び込むってことが、私にはできなかったんです」

「その男の顔がちゃんと見えてる?」

「だから私も、一度くらい間違ったこと、ちゃんとしてみる」

プレゼント

新潮文庫が贈る、豪華オムニバス。

これまで小説を愛してきてくれた人へ、って書かれてて、嬉しくなって買ってしまった。

ご褒美みたいなラインナップ。

最初から、久しぶりに伊坂さん読んで、やっぱりこの人の作品好きだったわって思い出した。

怪盗クイーンとかに通ずるようなワクワクがあって、純粋に楽しんだ。

江國香織の書き下ろしも、幸せだった。

この2人の作品が、個人的には特に好きだったかな。

でも、全員が、それぞれジャンルの違うレベルの高さを持ち寄っていて、彼らの作品に何度も心動かされてきた人たちだったからぐっときた。

おもしろい作品をこれまで届け続けてくれたことに、深い感謝の気持ちが、ある。

 

「迂闊に頭を出したら注目の的だよ」

「尊くんが目を覚ますのを待つだけの人生を送りたかった」

「いつか目を覚ますのかな」

「お気に召さなかったのなら、夢だと思ってください」

「目玉焼きの黄味を壊すタイミングは、完全にプライヴェートな問題なんだから」

「茉莉加が好きなのは旅を詳細に思い描くことであって、旅にでることではないのだから」

「僕にとって二人はべつの宇宙であり、できることなら永遠にべつの宇宙でいてほしかった」

「実際、十九歳というのは夏の夕方みたいなものなのだろう。昼でも夜でもない、どちらにも属していない時間が永遠みたいな顔してただ横たわっている」

「おれの知らない顔で笑って、凹んで、でもおれはそこに一切介入できなくてさ。距離って、関係ないよ」

「暇つぶしにできるようなひともいないし、おしまいって勝手にピリオド打てるわけでもない」

 

粉瘤息子都落ち択

タイトルおもしろいし、中身も独特というか、謎の展開が多くてなんかおもしろかった。

何の話、、、?ってなる。

択とか内圧とか、言葉遣いもよくて、文体は気だるいんだけど無骨さもあってかっこいい、みたいな。

格ゲーなんて、やらないからなあ。

 

「領土を大きくしたくって」「肉体って自分が持てる唯一の領土じゃんって」

「単位取れてたよ、贈る言葉入門」

「逆張りしてたら、気づいたら多数派のおもちゃにされて嫌だった、ていう解釈で、合ってますか」

「きっとこれからも、あらゆることに斜に構えては小馬鹿にして嘲笑おうとする。誰にでも、俺自身をも馬鹿にしながら生きながらえようとする。そういうエンジンが搭載された前提のレースの上を走る」

「また強気で太い択を通しはじめる。そのあとは慣性でどうにかなる。それはそう、そうであってくれ」

 

ラブ上等

うーん、次のMCにAwichが出るときいて、なんか、社会勉強みたいにシーズン1見てしまった。

ヤンキーとかギャルとかホストの文化とかは自分とは異質で、全く理解ができないから、見てみようと思った。

こういうことにキレるんだ、とか、ケンカしてもすぐ仲良くなるんだとか、こういうとこはピュアなんだとか、こういう恋愛の仕方するんだ、とか。わからなすぎて、おもしろい。

壮絶な過去と、どういう風に向き合って生きていくのかって、戦ってる人が多かったと思う。

人間の弱さとかずるさとか包み隠されない感じとかも、よかったな。

 

 

 

急に具合が悪くなる

久しぶりに、映画館で映画見た。

3時間超えの大作だけど、心に残る場面がたくさんあった。

フランス語と日本語混ざってて不思議な感覚だけど、そういうのも含めて、いろんなものを混ぜていこうとするこの映画のテーマに合ってたな。

やっぱり、人生には、一瞬で多くのことを変えてしまうような出会いがあって。

誰かに出会う準備ができてる、それを逃さない準備ができてるって感覚、すごくよくわかった。

あとね、主演の二人の言葉や態度の真っ直ぐさに、憧れるような気持ちもあった。

帰りたくない、とか、それでも私を選んでほしい、とか、臆さずに言えたらいいし、誰かに勇気をもって、大事な質問をできたらいい。

介護の、ユマニチュードとかも、興味深かった。

元気な頃を思い出して、もうあの頃のあの人はいないとか、比べてしまいがちではあるけど、それでも生きる力を信じたり、未来を見ようとする姿勢はかっこいい。

時間をかけてコミュニケーションをしたいし、木漏れ日とかに気を取られていたい。

人間を、人間として扱うことができることが、東京や仕事場や、余裕のない状況にいると難しくなることがあった。

そういうの、戦えたらって思うけど、自分の要領の悪さとか、疲労とか摩擦とかが嫌で、逃げてしまったり。マリーたちみたいに大きく変えることはできないけど、小さくやるのも、ひとつの答えって言ってくれてた。

あと、吾朗さんの、私は楽しかった、その一瞬一瞬以外に何があるでしょうかってセリフ、好きだった。

どんな関係性の人にも、欧米みたいにハグとかしてあげられるようになればいいな、ハグが純粋なハグ以外の意味を持たない社会だったらよかったなとか、思うことがある。

それができないから、せめて、言葉が届けられたらいいとか思うのかも。

 

月ぬ走いや、馬ぬ走い

わーすごかった。

なんだろう、次々に憑依されていく、イタコみたいな書き手だと思った。

本人以外ではあり得ないような文体が、ころころ入れ替わっておもしろい。

それぞれが関連しあっていて、種明かし的なことがされていく構成も見事だった。

気づいたら、作品全体として、沖縄という土地が持つ歴史や豊かさ、戦争や生活が、深みをもって描かれていると思った。

それぞれの立場で、その瞬間を生きている人、を切り取ってくれている。

ラップとかもすごいし。エーウィッチとか唾奇とか文学作品に出てくるの熱いし。

クレーの忘れっぽい天使とかも出てきて嬉しいな。

 

「内地の臣民も、満州の民も沖縄や、北海道の民もほんとうは死ぬひつようなどなかったのです、死ぬひつようがあるとすれば、こんどの戦争責任を引き受けるべき軍閥の人間たちではないですか」

「ぼくはぼくがバツでぜんぶのぼくが黒くぬられてなにもなくてそしてこれからもなにをやってもまっ黒だということがこわかった」

「絶望した。権力、体制との闘争に敗けたのではありません。じぶんの弱さ、無力に絶望したのです」

「みんなまちがってはいなかった。ただだれもただしくなかっただけだ」

「生活はくるしいし、事業にも失敗してばかりだったけどな。でもそういうのは関係ないだろ?人生をせいいっぱいやれるかってことには」

「まっ黒のころし、ころされをひきうけてぼくはこの絶望から転向して、あたらしいことばをさがす!」

「おい、秋繁、敗けるなよ、おれも敗けないつもりだ」

「みんなつながってるせいでわたしのはだかが全世界公開されるはめになっちゃったんだよ」

「ようやく、じぶんのしでかしたことの意味がわかってきて、そうだ、もうおれはここにいられないんだ、とわかり、びっくりした」

「詩ってぜんぶよくわからないからきらいです。もっとわかりやすく書けばいいのに」

 

銀河の一票

良いドラマだったな。

ドラマならではのわざとらしさみたいなのは随所にあるんだけど、コミカルだし、何よりキャストが素晴らしい。

序盤とか、けっこう泣いてしまう場面多かった。

一人一人に寄り添おうとするドラマで、めちゃくちゃ真剣に考えられてるのが伝わってきた。

黒木華ちゃん、かわいかったー。

望月歩くんも出てて嬉しかった。

社会の問題にまっすぐ立ち向かっていて、

他人事になってしまっている政治について、前向きに変えていこうとする姿とか、胸を打つ。

きれいごとじゃなくて、きれいなことって言い切ってくれる。

選挙の結果とかも、個人的にけっこう好きだった。

最近、宮沢賢治関連の作品、多いような気がする。流行ってるのかしら。