綿矢りさ、久しぶりに読んだ。
性格悪いやり合いみたいなの、おもしろいと思ってしまう自分が嫌になりつつ、とてもおもしろかった。
特に三作目、メールのやり合いが最高で、仕事の面倒くささみたいなものがぎゅーっと詰まってて、当事者だったら最悪でストレス過多でやられそうなんだけど、他人事だったら笑える。
しんどい。モメたくない気持ち、とてもわかる。
エキセントリックな最年少芥川賞作家に綿矢りさって名前つけるの、ユーモアがすごい。
「自暴自棄でヤケになってるというか、とことん全部さらけ出せば誰か一人ぐらいは私を理解してかわいそがってくれるのではないかっていう甘えた期待する気持ちが、絶望の底にある」
「客観性ってむずかしい。ありすぎると自分を縛るけどなさすぎると結果に不満が出る」
「包帯を顔中に巻いていたあの姿が、自分に一番似合っていた気がしてしょうがない」
「誰よりも目立ちつつ、誰よりも正体不明でいられたあの安らぎを、もう一度人ごみのなかで味わいたい」
「ひげ面で大柄なトトロっぽい外見なのに、メガネの奥の目つきがトトロよりもやや陰険そうなハムハムの夫、略してハム夫だ」
「自分のことなのに、焦点が涅槃じゃない」
「いや、した側が不倫を何かに例えると、文化しかり、異文化交流しかり、四半世紀は叩かれると昔から決まっている」
「落ち着け。カウンセリング中の精神分析医ぐらい落ち着け。あんま喋るな、墓穴掘るな」
「楓、僕にはそんな詩的な表現、もったいないよ」
「不倫なんて、やろうと思えばできるけど、理性を保ってあえてしていないと思っているだろうが、多分しようとしてもできない。昼間の裏で繋がりたい、現実の世界とは一味違う歪な時間を誰かと共有したいという渇望のある人間には、会ってすぐ分かる独特の色気がある」
「それ私をやっつけた気になってるのなら、片腹どころか両腹痛いです。笑ろてまいます」
「常識を超えて激昂するタイプの芸術家を、人間的に尊敬できない。たとえどれだけ才能があったとしても、あまりに世間の常識がない人と接すると、引いてしまうのだ」
「とりあえず三人で焼肉だけは絶対に行きたくない」
「でも本当の気持ちを言ったら、またモメるじゃないか。すごくモメるのが目に見えてるじゃないか」