ジョン・レノンを信じるな

最近、片山恭一ブームです。
女の子を失う男の子の話が多いのだけど。
文章そのものが好きな、稀有な作家さんの1人になりそう。
自分の中で、純粋さを守っていくこと。そのことの難しさに、立ち向かっていきたいなと思います。

「「書く」ことだけを取り出してみれば、機械的な手仕事となんら変わりない。」
「なぜあそこではなく、ここにいるのか、なぜ他の時ではなく、いまこの時にいるのか、その理由はまったくないからである。」
「十三歳のとき玲に感じた思いを、そっくりそのまま保ちつづけるためだけに、今日まで歳をとってきたような気がした。」
「恋愛にかんしては、誰もが多かれ少なかれ確信犯だと思ってたんですよ。」
「ロックンロールはティーンエイジャーのものか」
「彼らの言い分をみんな受け入れた上で、ぼくにはなおかつ言ってみたいことがあった。」「ぼくもホールデンのように、大人になるのが嫌だった。それは大人になることによって、自分もイカサマ野郎になってしまうような気がしたからだ。いまは、そんなふうには思わない。イカサマ野郎たちとは、嘘でもお世辞でも言って付き合っていく。同時に、ぼくはより一層純粋な人間になっていく。人を好きになることやなんかにかんしては、十代のころよりも、さらに真剣にさらに誠実になっていく。」
「ぼくは変わろうと思う。変わりながら、より純粋なものになっていこうと思う。ふてぶてしく純粋になっていこうと思う。」
「無邪気だったと言えば、まあそうなんだけど、そんなふうに無邪気になれる自分というのが、ビートルズから与えられたもののなかで、いちばん大切なものだといまでも思うしね。」
「人が変わるのは見かけだけで、考え方とか感じ方とかは全然変わらない。」
「失われるものなど何もないのだと思った。」「煙草ってのは、なんと言うか、自分もいつかは死ぬんだってことを思い出させるようなとこがある」
「本物らしいのはみんな嘘、誰も振り向かないものこそ本物だ。」

満月の夜、モビイ・ディックが

ユーモアがあふれてる。

せつなくて、あたまでっかちで、私はすごく好きな作品だなあと思いました。

冷めているのに、一生懸命生きていたいの。

ものすごい熱量で、なんの役にも立たない人生、素敵。

この人の言葉は、めくるめいていて、研がれている。

唐突で、少し町屋良平みたい。

 

「でも一方で、本当の問題は父さんにすらないのかもしれない、とクールに考えるぼくってなんて大人なのだろう。」

「妹は、、、彼女のことまで心配している余裕はない。」

「ぎすぎすした人間関係と暗いニュースに囲まれて生活しているぼくたちは、毎日心の健康を損ないつづけている。」

「おまけに家庭の内戦時代を冷静に乗り切るだけの叡智とタフネス。」

「変人・梶原純朴とのコントラストも鮮やかな、ちょっと神秘的な感じの美少女だった。」

熱帯雨林の保護の他にも、ぼくたちにはクリアしなければならない問題が山ほどある。」

「感想を一言」

「子どものころは流れ星になりたいと思っていたよ。みんなが気づいたときには、もう消えてるようなやつ。」

「彼の結婚観ときたら、まるで草も生えない不毛の大地といった感じだ。」

「そういえばローリング・ストーンズのデビュー曲はチャック・ベリーの「カモン」だったな、といつもながらの鯉沼であった。」

「二人とも内心では別のことを考えているので、話はいつまで経っても進展しない。」

「以上、被告人の最終弁論でした。」

「ぼくはこの「郊外の一軒家的な夢」が好きだった。」

「いつも二人の自分がいて、行ったり来たりしているの。」

「猫たちが幸せそうに見えるのは、親やそのまた親たちが歩んできた道を、彼らが逸脱することなく忠実に歩んでいるからじゃないかな。」

「深い湖底へ還っていく水の流れを想っていた。」

「ああいう犬にはカウンセリングが必要だと思わないか。」

「誰が読んでも「いなくなった武井さん」が怪しいと思わざるを得ない。」

「ぼくが彼女を好きだったという事実は、ロシア革命キューバ危機と同じように歴史的な出来事となりつつあった。」

「ぼくは自分の人生を、雪の結晶の研究みたいなものにしたいと思う。多大な労力と情熱が注ぎ込まれているが、なんの役にも立たない。それでいて、ずいぶん面白い。そんなふうに軽やかで、濃密な生き方ができればいい。」

「その苦しみから逃げないでほしいの。いまの苦しみを、別のものに置き換えないでほしいの。あなたの人生の質をきめるのは、苦しみそのものではなく、苦しみにどう対処したかよ。」「逃げずに、引き受けてほしいの。」

「それは、コミュニケーションを避けるための会話みたいなものだ。」

「たまたま目の前に転がっている偶然に確信犯的に身を委ね、一人の他者に自分の生涯を賭ける。」

「でもいつか、わたしも自分の本当の場所で、人を好きになることができればと思います。」

青いパパイヤの香り

サイゴンが舞台。南国らしい、瑞々しさが溢れるような映画。
パパイヤ含め、ゴムノキとか、植物の青さが際立ってた。
こどもの頃のムイがよかった。
カメラの視点が細やかでよかった。
ストーリー的にはシンデレラなのに、静かで実直で、でもじわじわと色気がありました。

太陽の季節

初めて読んでみた。

小樽の文学館にエスキースがいくつか飾られてて興味を持った。

本当に、多才な人だったんだ。

ハードボイルドと言うのは、こういうのを言うのかしら。

文学的にすごく高いレベルの文章で、少し村上龍中村文則のような要素を感じました。

こんなにも反倫理的な作品を書く人が、都知事にまで上り詰めるということが、なんだか世の中のいびつさをあらわしている気もするけれど。

なんていうか、人の感情に対して過度に反応し過ぎるお人好しには、政治家と言う職業は務まらないのかな、と思ってしまう。

やっぱり、ひと昔前の作家さんには、紙上だけじゃなくて、自らの文学を、人生をかけて体現するような人が多いのかなあと思ってました。

短編いくつか入ってて、「太陽の季節」もよかったけど、「乾いた花」も好きだった。

 

「この年頃の彼等にあっては、人間の持つ総ての感情は物質化してしまうのだ。」

「彼等の示す友情はいかなる場合にも自分の犠牲を伴うことはなかった。」

「そして更にこの友情を荒々しいまで緻密にして行くのは、その年齢にまかせてとは決して言いきれぬ、彼等の共同して行う狼藉と悪事を通じて結ばれる共犯者の感情だった。」

「彼が通って来た世界の女達は、所詮玄人も素人も、彼が女に求めるべきと信じた夢を一つ一つ壊しただけであった。」

「以来英子は与えずして奪うことのみ決心した。」

「彼にとって大切なことは、自分が一番したいことを、したいように行ったかと言うことだった。何故と言う事に要はなかった。」

「これは英子の彼に対する一番残酷な復讐ではなかったか、彼女は死ぬことによって、竜哉の一番好きだった、いくら叩いても壊れぬ玩具を永久に奪ったのだ。」

 

「自分に何が起ろうとしているか、克己は知ってもいたし、知りもしなかった。」

「この男は自分の負けることを知らないんだ。」

 

「生きるって退屈なことだな」

「そうよ。誰が何をいっても、私は私を許してやるわ。」

「少なくともその時、私たちにとって世界は可能なものだった。」

「今の瞬間を捉えておくためにどれほどの勢いで時を追いかけたらいいのかと私は思った。」

「あれもひとつの人生って訳だ。でも結局は、みんな無駄なのかしら。」

空白を満たしなさい

死者が生き返るというありえない設定を、どこまでもリアルに描いた作品。タイトルとテーマが秀逸。理由のない自殺を、一生懸命探っていくのがおもしろかった。
「分人」の考え方は、とてもよくわかる。自分をまるごと愛さなくていいから、その人といる自分を好きになれるような相手を大切にすること。
生きたいと願いながら死んでしまうこと。
誤った自分を消したくて、まるごと自分を殺すしかないと思ってしまったこと。
疲労の話も興味深い。人生の幸せな出来事の多い30代に自殺が多いこと。
一緒に生きていく人を大事にしたいと思った。


「殴ったのは相手の顔だったが、本当は、言葉そのものを殴りつけたかった。」
「別に死体を見たわけでもなく、ただ「死んだ」と言葉で伝えられただけで、この人の中で、自分は唐突に「死んだ」のだった。」
「拒んで当然だって、そんなふうに思ってほしくない。」
「我々はいつでも、癒しを与えることを急ぎすぎ、自分の住んでいる世界を憎悪から守るのに必死で、他者の苦悩を尊重することを忘れがちです。」「苦悩を否定された人間は、悲劇的な方法で、それを証明するように追い詰められます。」
「自分を誤解されることは、苦しみではないですか?」
「死は傲慢に、人生を染めます。」
「何をしたかというより、したことのうちで、何が目立ったかの問題です。」
「人生には、そんなに同じことが何度も起こるわけじゃない。」「その1回に何をするのか、それがその人ということなんじゃないでしょうか。」
「各駅停車の電車のつもりで、実は終点まで止まらない特急電車に乗ってた。そんな感じがするんです。気がつけば終点でした。」
「分人同士で見守り合う。」
「できるだけ痛ましい死体になりたかった。」「ただ自分の内と外が裏返しになって、傷ついた内側が外側に露になりさえすれば良かった。」

掏摸

全然明るくない小説のトーンが、柳美里に少し似ているな、と思った。
少年の死までもをすべて規定するという貴族と少年の逸話が、印象的だった。
エンターテインメントとしても、おもしろかったです。

「消えてほしくない人間ほど、最後は悲痛に、長くは生きていなかった。」

津軽

太宰治の人間らしさ、それから津軽の風土がぶんぶん伝わってくる。
終わり方、かっこよすぎる。
本当は、要領悪く、生きていきたい。

「私にとって、ふと、とか、われしらず、とかいう動作は有り得なかったのである。」

「大人とは、裏切られた青年の姿である。」

「信じるところに現実はあるのであって、現実は決して人を信じさせる事ができない。」

「友あり遠方より来た場合には、どうしたらいいかわからなくなってしまうのである。」

「酒飲みというものは、酒を飲んでいない時にはひどく厳粛な顔をしているものである。」

「私は、この友人を愛している。」

津軽人は特に、心のひびを忘れない種族である。」

津軽特有の「要領の悪さ」は、もはやこの辺にない。」

「しっかりせんかい。」

「さらば読者よ、命あらればまた他日。元気で行こう。絶望するな。では、失敬。」