2023-10-01から1ヶ月間の記事一覧

パリ、テキサス。

すばらしかった。パルムドールも納得だ。 ゆったりとした時間の流れの中で、沈黙の中で、非常に繊細な人間どうしのやりとりが丁寧に描かれている。 砂漠の中の色彩も、美しい。ビル群とハイウェイも美しい。 言葉を失ってしまうことも、とても閉鎖的になって…

俺たちに明日はない

ラストシーンが衝撃的。死のバレエって呼ばれてるのか。 実在した2人の話なのね。 明るい映画なのかと思ってた。実際、舞台はテキサスで、映画のトーンは西部劇みたいで明るいのだけど。 明日はない、って言葉どおり、どんどん未来が閉ざされていって、追い…

骨は珊瑚、眼は真珠

池澤夏樹の短編集。 音読して読みたくなるくらい、きれいな文章。恐ろしいほどの知識と、絶対的な安心感がある。 特別に好きだったのは、アステロイド観測隊と、北への旅。 アステロイド観測隊は、機知にとんでいて、わくわくして。少しまぬけで、現実的な問…

泣かない子供

江國香織のエッセイ。 知らないことだらけの世界で、ひとつひとつ、確かめるように、生きていきたい。 筆者の生活には、いつも愛がある。 妥協しないで、ものをつくる人の姿勢に、背筋が伸びる。 「結婚するのがどういうことかというと、いちばんなりたくな…

アンソーシャル ディスタンス

金原ひとみの小説。 バランスを失っていく人を書くのが本当に上手。読んでいて、こちらが心配になってしまう。でも、小説の中では、狂気が正当なものになりうる。 なんだか金原ひとみの書く女性はほとんど不倫しているなあ。 死んだほうがマシなんてこと、本…

キングオブコント2023

今年も楽しかったな。 個人的に、ダントツ盛り上がったのはジグザグジキー。 すごく昔、好きになったコント師が、今年決勝であんなに最高のネタを披露しててほんと嬉しかったな。天才的だと思った。だから、落ちてしまってかなしかった。 それから、気に入っ…

lost in translation

lost in tlanslationいい言葉だな。 たっぷり東京を見せてくれる。 映像ががとてもきれいで、clearだった。余計なものがなくて、そこにあるものがよく見える。 I'm stuck. とか、I'm mean.とか。 誰かにそっと言える瞬間がある。 でも、普段の生活の中で、全…

トークサバイバー2

たくさん笑わせてもらった。 西田さん優勝、納得だ。鰻が絶滅するなんて、絶対に嫌だー、が最高だった。ほんとに独特の、誰にも思いつかない発想が天才的。 あと、顔に油性マジックした国ちゃんが、とってもらしくてよかった。 ほとんどなんにも覚えてないけ…

あの頃ペニー・レインと

音楽への愛が伝わる映画だね。 けっこうなボリュームで、見終わったときの満足感がありました。 ペニー・レイン、失恋するときの痛々しさも含めて、オーラがあって魅力的。 少しベタでご都合主義の展開が多かったりもするのだけど、醜いところもありつつなん…

天使の涙

なんなんだろう、この異常なかっこよさ。 常軌を逸した人たちがたくさん出てくるのだけど、全然憎めない。 一人称で語られる言葉が、たまに詩的でユニークで好きだ。 自分が店になったような気持ち、とか。 恋する惑星よりも、ストーリーラインがしっかりし…

エレファント

みどりがかった空の色がとてもきれい。 エリーゼのためにの旋律が不穏。 淡々と、高校の日常が映し出されていく映画。そして、銃乱射事件。 セリフっぽいところがまったくなく、ストーリーもなく、それぞれのライフと、少しの会話と雑音があるだけ。 Elephan…

きらきらひかる

昔読んだはずなのに、ちっとも覚えていなかった。表紙の優しい紫が好き。 書き出しから最高だし、睦月とか紺とか、名前がいい。 本当に、江國香織の文章は、ずっと読んでいたくなる。ときどきぎゅっと切なくなる。 きれいなものを、感じていたいな、書いてみ…

マルコヴィッチの穴

不思議な映画だった。 とても混乱する。ある日突然、人間の中身が変わってしまったとしても、周りの人には、どうすることもできないのだな、と思った。 SF的なおもしろさだけれども、性的な倒錯とか、コンプレックスからの変身願望とか、人間の根幹を揺るが…

おいしいごはんが食べられますように

これは、傑作だ。 高瀬さんは、淡々と、けっこう恐ろしいことを書いていく。 言いたいのに、言えないことが、見事に言語化されている。 職場って、どこもきっと歪なんだろうな。 誰が悪いとか、そういうの、みる視点によって変わってしまうし、表面に出てき…

河内カルメン

神保町シアターでみた。吉本のマンゲキの隣にあるのだね。 見事におじさんばかりだった。 日本の白黒映画、スクリーンでみたのは初めてかもしれない。 とっても良かった。軽快で、あけすけで。日本にもこんな時代があったんだなあって。 野川由美子、最高に…

日記(2023年9月)

バスケ、すごいな。本当にすごい。 友達が遊びにくる。仕事大変なのに毎日英語の勉強しててほんとにえらい。2軒目なんて、普段は行かない。 愚痴大会にはなりたくない。やるべきこと、やっていく。 がんばりたいことがあるんだ。 夜道を歩く。大好きな先輩。…

私小説

けっこう奇跡的に好きな人たちが集まっててびっくりした。 しいきともみってどんな女の人だろうって思ってたらmy hairの椎木くんその人でさらにびっくりした。 結果的に、椎木くんと、エリイという方の作品が気に入ってしまった。大衆に、届ける力がアーティ…

舞台

西加奈子の小説、魂がのってるからずっと読んでいられる。 自意識の強さ、どこかで共感してしまう。 ニューヨークの情景は、まるで自分が散歩してるみたいに性格だし、一人旅の高揚や焦りが、よく伝わってくる。 恥を恐れること、恥を捨てること、太宰治の影…

線は、僕を描く

水墨画をテーマに、青年の成長を描ききった作品。よくこんなにも水墨画の真髄や心情の変化を細かく根気強く描いてるなあと思った。 だけれど、少し意外性に欠けてしまって十分に楽しめなかったかな。 「心の内側を解き放つために、湖山先生は僕をここに呼ん…