代筆屋

辻仁成の小説。こんなにもロマンチストな男の人、みたことがない。すごいなあ。表現が豊か。ちょっとかっこつけた文章も含めて癖になる。
いくつもの物語の中で、きちんと前置きでハードルをあげておきながら、読者を落胆させないような、期待を超えてくるような手紙の全文を載せる。とても勇気のある構成で、この人は自分の文章力に本当に自信があるんだなと思って、その正々堂々さがかっこいい作品だと思いました。
私も、好きな人には手紙を書くようにしているよ。

「目をつむると、あなたに大切にされた思い出が真っ先に蘇ります。」
「でもね、死のうとは思わなかった。それが私なんです。」
「高級車なんかじゃなくて、ただ素敵な車」
「こうちゃんは私にとっていつも重たい要だったよ。」
「りさ、おかえり」