今頃になってはじめて読んだ羽田圭介。
なんだろう、人間の業みたいなもの、不可解でいやらしくてどうしようもないもの、生への執着とか、自分本位の思い込みとか、介護を通して描かれるっていうの、おもしろかった。内面と外面の乖離、或いは並走、みたいなものも。内面から、人生は思わぬ方向へ転がっていく。
芥川賞作品、もっと読んでみようと思いました。
「ただ漫然と時間をやり過ごさなければならないのは、生き地獄そのものだと健斗は思った」
「本人にしかわからない主観的な苦痛や不快感だけは、とんでもなく大きいのだ。」
「祖父が乗り越えなければならない死へのハードルは、あまりにも高かった。」
「人間はおよそ五〇年も前に宇宙へ飛び月の周回軌道をぐるぐるまわったのだから、苦痛なく天国へ行くことくらいできなきゃおかしいだろう」
「死ぬとこだった」