西加奈子の小説、魂がのってるからずっと読んでいられる。
自意識の強さ、どこかで共感してしまう。
ニューヨークの情景は、まるで自分が散歩してるみたいに性格だし、一人旅の高揚や焦りが、よく伝わってくる。
恥を恐れること、恥を捨てること、太宰治の影響も色濃くあるのだな。
「自分の心を、あんなに強く引き付けた小紋の文章が、バックを盗まれた、腹が減った、それだけの理由で、全く頭に入ってこないとは。葉太は、自分の下劣さを呪った。」
「じゃあ、付き合うってことで、いいでしょうか、ね!」
「社会には、ここまではセーフ、ここからはアウトというラインが、目には見えないが、俄然としてある。」
「俺はいつだって演じている。何かを。正解を、求めている。」
「顔を美しく見せるための化粧という行為が、かえってその人を醜く見せるものであることを葉太に教えたのは、母だった」
「父が死を覚悟していたのは事実だ。それでもなお、全く失われない演出力に、葉太は感嘆した」