本谷有希子の、6日間で1人の女の人の人生を描こうとする実験的な作品。
28歳のリンデの、カップル感の価値観の違いが浮き彫りになる描写、見事だった。
ほんとうに分かり合える誰かを、ずっと求めて、夢見て、期待して、敗れていくさまが、よくわかるし、少し痛々しくもあり。
現実の、都合のよくないところを容赦なくつきつけられているかんじ。
「教室をもし真上から見たら、ちょうど世界地図のように見えるのかもしれない。自分たちは大きな大陸のすぐ横でひっそりと海に浮かぶ、三つの孤島だった」
「彼はそうやっていつも、言葉にはしないで、リンデが自分から気づくようにわざとらしく仕向ける。」
「優しくした相手に、なんでもっと親切にしないんだって怒鳴られているようにしか聞こえない」