イルカ

ふたたび、よしもとばなな
ちょっとオカルトすぎると酔ってしまうけれど。
出産の話、他人事じゃない。
よしもとばなな作品の主人公は、まったく卑屈じゃないところがいい。絶対に悪びれず、時々、鼻につくほど、自信に満ちあふれているところ。そういう生き方もできるのだと、提示してくれるところ。


「人生はいくつになっても必ず新鮮な気分になれる出来事が待っているものだ。」
「ある瞬間、突然何かをしたくなる、また何かをやめたくなる。そのときの気持ちこそが私にとって生きている証だったのだ。」
「人は人に優しくされたいのだな」
「自分のことだけでいっぱいなうちに他の人とくっついたら、あんな淋しい家族を作ってしまう。」
「「今日はしゃべる気分ではないので、しゃべれません」とか「あなたが好きだけれど、一生愛せるほどではない」とか、そういう厳密さを持った会話ができて、その上人や自分を放っておける、執念深さがない、数少ない人だった。」「寺での最後の夜は、誰も泣いてないのに全てが水彩でにじんでいるようだった。」
「いつでもさっきまでいっしょにいた人たちの声が、海鳴りのように耳に残っていた。」
「そういう約束事の中に、メンバーの誰もが生きていないのよ。」
「もういるものを、いないことにすることだけは、絶対にできないのだ。」
「風や光が体の中を通っていくような瞬間だった。」

なんくるない

ひさしぶりによしもとばなな読んだら、やっぱりすごかった。

わたし、ほんとにこの人の書く文章好きなんだった。

すてきな表現があふれてる。不思議な説得力がある。やたらめったらいろんな言葉を駆使して、言葉にならないようなことを、言葉にしてしまうよしもとばななの感性が、きらきらした本だなあと思いました。

沖縄に行くまでは、死ねない。

 

「その無音の中には永遠があった、そういう感じがする。」

「少し退屈で甘く切なくとんちんかんで、永遠に続くかと思われた平和な家族の夢。」

「そういうもう止めることのできない流れを見ていることしかできない哀しさが、店の人のか細くて優しいのにどこか力強い声に交じって幼い私の胸を打った。」

「この世の祈りは、みんな、ほんとうはいるのに見えなくなってしまったある概念のために・・・たとえば母にとっては父の中に見つけた理想の男性像や、父にとってはこんなに気むずかしく考え深くなくてただ勝ち気で陽気だった母の姿や、ほんとうはわかっているのに子供だから子供のふりをして黙って浜辺で遊んでいる私みたいな、そういう存在に捧げられているのだと、私はその時、言葉にはできないながらも感じていた。」

「でもそのおばさんと母との遊び方は、まるで授業か演技のように見えた。」

「深刻になっていいことなんて一個もないよ。」

「甘い果実を育てる力、花を真っ赤に染める力、海の中の魚たちを生かす力、そして風車を回していく力・・・ここにあるいろいろなものに私は力をもらい、吸い上げ、自分の足で踏み出していこうと思った。」

「かけがえのないことはどんどん変化している。」

「なにがあっても私を好きで許しているはずの、家族だった人が、私と別れてもいいと思ったのだ・・・そういう気持ちが消えないままで、ぐずぐずと心の中に、くすぶっていた。」

「なんだかこの国のあちこちに自由のつぶつぶが少なくなっていって、人々は水面でぱくぱくしている金魚みたいに見えた。自由はいつでも、お金だとか時間だとかなにか条件がなければ手に入らないものみたいだった。」

「私たちが考えることやすることの源は、みんな小さいときに世界に触れて得たエネルギーから来ているのだと、こういうときにいつでも思う。」

「お母さんに最後にもらった宝や、夫だった人といっしょうけんめいいっしょに勉強したいろんな宝を持って、また次の世界に行くんだ。次の世界でいちからまた新しく、いろいろなものを見るんだ。

「夢も野心もなく、ただじわじわと、生きているだけで嬉しい・・・。」

「ダメ男、何人知り合えどダメはダメ。」

「がんばるために生まれてきたわけじゃないから。」

「ここだと自分の体と考えとやってることが、ばらばらになりにくい感じがする。」

「その場で思ったことをその場で言わなくて、いつ言うの?」

「体が近くにあるだけでも、ただ嬉しいということなんだ。」

「だから面白いことをたくさんして、逃げ続けるんだ。逃げ続けるしかできない戦いなんだよ。僕のちっぽけな人生を誰にも渡さないんだ。」

「こういうところでだけ、すてきなことが言える人っていっぱいいるんだよね。」

「予想したらなんでもだめになってぐちゃぐちゃになって地面で死んでしまう。」

「限定してはいけないんだ。限定だけが敵だ。だってなにが起こるかほんとうにわからないはずだから。」

「決まりきった価値観を静かに叩き壊したかった。」

「なんでもお互い様なのよ、わかってる?私は売春婦じゃないし、あなたも犯罪者じゃないのよ?」

「こういう変なことが変なふうに起こるのを、そして僕の中のわけのわからない感情がうごめく瞬間を、僕はいつでもどこでも待っている。そしてそれはこしてたまにやってくるから、生きていられる。

 明日の僕もそう思うだろう。動いていく世界を聴き続けること以外は、何もできないと。」

日記 (2022年3月)

確実なポイントを逃さないようにしよう。
いけると思ったら、体全部で攻めていく。

毎朝公園で腕立てをしていたおじいちゃん。

どこでつくったのかわからない傷ばっかり。

宮崎あおいが好き。

もう少し、お気に入りの服増やしたい。

とんがった靴を履いた数学の先生と、放課後一緒に帰ったこと。

無知だった私は、からかわれてばっかだったね。

本当は、しゃべれるのに、なんにも言わない人。

潔癖だった私は、あいつが酔って他の女の子と手をつなぐのを許せなかったよ、自分の男でもないのに。

こんな僻地での気ままな生活、2度とないかもしれない1人の昼休み。

つながりたい人に、アタックしてみる。いつでもそういうささいな勇気をもっていよう。うまくいかなくても、めげないでいよう。

自分で書いた文章に号泣できて嬉しかった。

雪かきをさぼって後ろめたい。

一点豪華主義で行こう。

戦争が嫌いだなんてわざわざ口にしたくない。

なんにも怖くなんかない。

真空ジェシカ、キテレツ!

品のあるおじいちゃんがいちばん。

空が晴れて嬉しいね。

水遊びして、はだかでねむる。

なんにもしなくたって、楽しかったよ、ずっと。

本当はいつも会いに行きたい。

ヨーグルト大量に買った。毎日同じようには暮らせない。

佐久間信行のエンタメ知識と企画力がすばらしい。情熱が伝わってくる。ああいう仕事の仕方ができたらと思う。

先輩が仕事を辞めた。追いかけていきたくなる。せめて、本当の理由が知りたい。

地震があった時、誰よりも先に連絡くれる友達を大事にする。両親みたい。

次々に襲いかかってくる災難が、人生を楽しんではいけないよって言ってるみたい。

仕事以外の時間が人生。休みは勝ち取るもの。

話を出し惜しみしない。

やっぱり、友達に対しては一生懸命でいたい。

好きな人に会いに行く。これは絶対。

自分で居続けられるように。大抵のことをおもしろがっていこーよ。

刻一刻と変化が迫ってくる年度末。

山の雪がなかなか溶けません。もう春なのに。

テレビをみない生活を1週間やってみます。少しずつ、変わっていきたい。

今年度終わりの日。明日からも、少しだけ、新しい気持ちで。

図書館で、文章を書いている。

サヨナラの季節に、何の感情も動かないなんて寂しいね。

東京では、桜が満開らしいですよ。

シングストリート

映画、相当よかったです。
音楽と、役者さんたちの魅力が詰まっててて。
特に、ヒロインがかわいい!
閉鎖された空間から抜け出せるって夢みるの、前だけみて、行動して。久しぶりに、ありきたりに、あ、力もらえたって思ったよ。
マーク・マッケンナー、とってもいい味でした。
やっぱりロック!ロック!ロック!

正欲

すっごかった!圧倒されてしまった。

朝井リョウの作家としての、時代や人間をあばいていく能力が存分に発揮されている。

「イマ」を捉えることに秀でている作家さんなんだ。

そして、構成がつきぬけてクレバー。表現が的確。

やっぱり、誰もが誰もを理解できるわけじゃないから。自分が好きだと思える人、居心地がいいと思える人と一緒にいられたら、それだけで、明日を生きたいと思えるようになるんだと思いました。

 

「私はずっと、この星に留学しているような感覚なんです。」

「私は私がきちんと気持ち悪い。」

「社会からほっとかれるためには社会の一員になることが最も手っ取り早いということです。」

「夏月は、あまりに滞りのない命のサイクルに、歌でも歌いような気持になる。」

「野生の勘で生きているようなやつほど、自然界に潜む不自然な瞬間に敏い。」

「だからこそ、そんなしがらみの中でちゃんとしていたいって思ってる人のことは、なんとなくわかりますよ。」

「あなたが抱えている苦しみが、他人に明かして共有して同情してもらえるようなもので心底羨ましいと。」

「よかった年なんて、あったかなー。」

「自殺の方法を一度も調べたことのない人の人生は、どんな季節で溢れているのだろう。」

「親が死んだとき、まず、よかった、って思ったんだ。」「俺が特殊性癖だってきづかないうちに死んでくれた、これで辻褄が合ったって。」「多分、自分が死ぬときもそう思うんだよ、俺。」

「生まれたときに搭載されてしまったオプションに、本体ごとぶっ壊される未来しか想像できていなかった。」

「ただお互いに、絶対に他の誰にも知られたくないことだけを、だけど確実に自分の思考や哲学の根にあるものだけを、握り締め合っている。心臓を掴み合っている。」

「男は、男であることから降りようとする男を許さない。」

「あなたの目の前にいる人間は、あなたが想像しているような人間とは、全く違う。」

「生きていくために備わった欲求が世界のほうから肯定される。」

「まとも側の岸にいたいのならば、多数決で勝ち続けなければならない。」

「あそこで勇気を振り絞らなかったら終わっていた。そう思う瞬間が幾つもある。」

「いなくならないで」

「どんな人間だって自由に生きられる世界を。ただしマジでヤバい奴は除く」

「「あってはならない感情なんて、この世にないんだから」それはつまり、いてはいけない人なんて、この世にいないということだ。」

コンジュジ

リアン·ノートンの実在感がすごい。
さいころ藤原基央に恋に落ちた気持ちを思い出した。
虐待の描写はやっぱり目を背けてしまうけれど。フィクションと現実がわからなくなっていくかんじと、ラストシーンが圧巻。
お墓に入ることと、明日も仕事に行くということの根本的な矛盾が。

「せれなは早急にセクシーな女にならなければいけない気がして」

キングオブコント2009

今さら見てしまう、東京03が優勝した回。
改めてみたら、ロッチの1本目、しずる、インパルスよモンスターエンジンの2本目すごかった。面白くないネタなかった!
芸人審査だから、愛があるね。
10年以上たった今、明暗がわかれているから振り返るとおもしろい。めちゃくちゃおもしろい人たちも、いろんなしがらみに埋もれてどっかにいっちゃうのだなあ。
新しいものばかり愛せない私は、過去に宝物を掘り返しに行ってしまいます。今はもういない人達のコントとか、ドラマとか、音楽とか、そういうの。