すっごかった!圧倒されてしまった。
朝井リョウの作家としての、時代や人間をあばいていく能力が存分に発揮されている。
「イマ」を捉えることに秀でている作家さんなんだ。
そして、構成がつきぬけてクレバー。表現が的確。
やっぱり、誰もが誰もを理解できるわけじゃないから。自分が好きだと思える人、居心地がいいと思える人と一緒にいられたら、それだけで、明日を生きたいと思えるようになるんだと思いました。
「私はずっと、この星に留学しているような感覚なんです。」
「私は私がきちんと気持ち悪い。」
「社会からほっとかれるためには社会の一員になることが最も手っ取り早いということです。」
「夏月は、あまりに滞りのない命のサイクルに、歌でも歌いような気持になる。」
「野生の勘で生きているようなやつほど、自然界に潜む不自然な瞬間に敏い。」
「だからこそ、そんなしがらみの中でちゃんとしていたいって思ってる人のことは、なんとなくわかりますよ。」
「あなたが抱えている苦しみが、他人に明かして共有して同情してもらえるようなもので心底羨ましいと。」
「よかった年なんて、あったかなー。」
「自殺の方法を一度も調べたことのない人の人生は、どんな季節で溢れているのだろう。」
「親が死んだとき、まず、よかった、って思ったんだ。」「俺が特殊性癖だってきづかないうちに死んでくれた、これで辻褄が合ったって。」「多分、自分が死ぬときもそう思うんだよ、俺。」
「生まれたときに搭載されてしまったオプションに、本体ごとぶっ壊される未来しか想像できていなかった。」
「ただお互いに、絶対に他の誰にも知られたくないことだけを、だけど確実に自分の思考や哲学の根にあるものだけを、握り締め合っている。心臓を掴み合っている。」
「男は、男であることから降りようとする男を許さない。」
「あなたの目の前にいる人間は、あなたが想像しているような人間とは、全く違う。」
「生きていくために備わった欲求が世界のほうから肯定される。」
「まとも側の岸にいたいのならば、多数決で勝ち続けなければならない。」
「あそこで勇気を振り絞らなかったら終わっていた。そう思う瞬間が幾つもある。」
「いなくならないで」
「どんな人間だって自由に生きられる世界を。ただしマジでヤバい奴は除く」
「「あってはならない感情なんて、この世にないんだから」それはつまり、いてはいけない人なんて、この世にいないということだ。」