カデナ

池澤夏樹の、2作目を読んだ。
沖縄から見た、ベトナム戦争。そしてスパイ活動。
文章が美しくて、品が良くて、はまりそうだ。
特に、フリーダ=ジェインがよかった。教養に基づいたユーモアとか、自信に基づいた決断とか。
「人生にはとっても大事なことを一瞬で決めてしまう場合があるの。」
「ものを考える男はいい。」
「愛とセックスの両方があるの。どっちも必要なの。愛だけで結ばれたいなんて、わたしが七十歳になってから言ってよ。」
「これから、彼が言ったことをぜんぶ思い出さなくてはいけない。全部覚えていなくてはいけない。もう彼には新しい言葉はないんだから。」

「ここにはすごい緊張感ととんでもないだらしなさの両方があって、それが戦争ということなんだろうとぼくは思った。」

外から眺める戦争というのが、おもしろかった。強い動機がある訳でもないのに、確かに積極的に戦争に巻き込まれて行ったひとたち。それぞれの日常の中に、戦争が忍び込んでいく様子がおもしろかったです。