浅くて深い短編の世界

森絵都の短編集「架空の球を追う」を読んだ。

短編集は結構好きで、いろんな作家のものを読む。星野新一のショートショートにはまっていた時期もあった。

中でも、森絵都の短編集は大好き。直木賞をとった「風に舞い上がるビニールシート」もたしか短編だった。とびきりのお気に入りは、「ショート·トリップ」。収録されているのはすべて2,3ページの旅に関する物語。それぞれの物語はすぐに終わってしまうけど、ちょっと不思議で皮肉な世界をのぞけばそのトリコになる。

短編は、浅くて深い。全部の物語を読み終えてしばらく経ったとき、私が覚えているのは意外な作品だったりする。あなたがこれを読んだら、どの物語が頭に残っているだろう。

ひとつひとつの物語の世界が混ざり合ってどんなものを生み出すか。タイトルも、順番も、関連性も大事だけど、やっぱり全体感は化学反応だ。

ひとがつくり出す時間も同じだね。