異邦人

原田マハ、「異邦人」、読みました。

 

原田マハの作品で一番好きなのは、「たゆたえども沈まず」。真っすぐな物語が、こころの真ん中にぶつかってきて、これはすごいと思った。

 

「異邦人」は、ぶつかってはこなかったけど、でも、少しずつ沼に沈んでって、何かがずれていく感じ。

筆者が、芸術至上主義の人間を書きたくて生まれた作品なのだという。

絵画に造詣の深い筆者ならではの、確かな知識や教養にあふれた物語になっている。

だけど、読み終えた私には、この作品は、京都という街の魅力を描いた小説という印象が強い。この街の奥ゆかしさや気難しさ、品の良さや煩わしさを見事に描き切った筆力を、称えたくなる。