サラダ記念日

国語の便覧にのるほど有名な歌集を、はじめて読んだ。恋のうたが多いんだ。あっけらかんとした生き様が好き。

また電話しろよと言って受話器置く君に今すぐ電話をしたい
四百円にて吾のものとなりたるを知らん顔して咲くバラの花
砂浜に二人で埋めた飛行機の折れた翼を忘れないでね
母の住む国から降ってくる雪のような淋しさ東京にいる
気づくのは何故か女の役目にて愛だけで人生きてゆけない
やさしさをうまく表現できぬこと許されており父の世代は
我という三百六十五面体ぶんぶん分裂して飛んでゆけ
なんでもない会話なんでもない笑顔なんでもないからふるさとが好き
愛された記憶はどこか透明でいつでも一人いつだって一人

生きることがうたうことだから、うたうことが生きることだから。