本当はちがうんだ日記

穂村弘のエッセイ、最高。
最初の「エスプレッソ」から、もう大好き。
「それでも私はエスプレッソが好きだ。その理由は、素敵な飲み物だからである。」
私も、物事の素敵レベルについてはとっても重要視しています。

「女子中学生は立読自由」という恐い張り紙、リセットできない人生の恐さ、「僕を守ってタイプ」の情けなさ、後ろの後ろの人に順番を譲るおじいさんの品の良さ、ベティによろしくと書かれた絵葉書。

中でも、硝子人間だった頃、っていうのがとってもよかった。
「今から振り返ると、現実世界に入れない私にとって、本屋は世界の玄関のような場所だったと思う。世界のなかで辛うじて身を置くことのできる唯一の場所。私は、玄関で靴を脱ぐことも思いつかないまま、ぼんやりとそこに二十年近く立ち尽くしていた。」
「私はもう少しだけ先に進んでみようと思う。だが、手には靴をもったまま、何か怖い目にあったら、すぐに玄関に引き返すつもりだ。」

唐突に、短歌出てくるのも好き。
「無名にて死なば星らにまぎれむか輝く空の生贄として」寺山修司