花のベッドでひるねして

よしもとばななの素敵な作品、また見つけてしまった。

こういうことを伝えるために、文学があるって、私は思った。

だれにも伝わらないような生き方をこっそり肯定してくれることに、どれだけ勇気づけられるかわからない。

 

「うっとりと花のベッドに寝ころんでいるような生き方をするんだ。もちろん人生はきつくたいへんだし様々な苦痛に満ちている。それでも心の底から、だれがなんと言おうと、だれにもわからないやり方でそうするんだ、まるで花のベッドに寝ころんでひるねしているみたいに。」

「夕方になると、ここの夕暮れの光は強いから、みんなの顔も家の壁も羊もみんなピンク色になるのね。そういうのを見るのも好き。」

「いつもにこにこしているけれど、いつまでも子どもみたいでバカみたいな子。やたらに村をうろうろしていて、いろんなものをじっと見ている底知れなくて気味悪い子。調子よくいろんな人としゃべって、浮ついていて、上滑り、心の中にちっとも静かで確かなものを持ってない。いつもほんとうの気持ちを隠していて気が許せない。」

「花のベッドで寝ころんでひるねしているように生きるのは楽なことではないけれど、それを選んだからには、周りにいくらそう思われてもしかたがない。」

「どれだけの「違うこと」をしないできたか。ただそれだけのことがどんなにたいへんか。」

「たとえ大きな意味では優しくない行為であっても、そこには目先だけの温かさがあった。私はそれで充分だった。」

「人間ってほんとうに自由なんだねえ、そして全部がやっぱり夢みたいなんだね。」