芥川賞受賞作なのですね。
こういう時代があったんだなあ。
なんていうか、時の流れというのはおもしろいもので、どんどん過ぎ去ってしまうので。
ダイナミックで、ひどく薄情だと思う。
母親との関係性、よくわかる。
集団の中で冷めきっている気持ちもよくわかる。
うすぐらい感じの文学が、筆者にはよく似合う。
「いまのレイ子と僕の暮らしには嘘がある。」
「けれども酔っぱらっている僕の胸はうすい防禦の膜がおおいかぶさったふうになっていて、相手の言葉が刃のようにつきささっても、ほとんど痛みを感じなかった。」