硝子のボレット

田丸まひるの歌集。精神科医なんだ。

なんだろう、とても激しい。

生と死の、近くで生きているような人にしか出せないような緊迫感がある。

言葉選びに必然性とアイディアあがあってかっこいいなと思いました。

 

「ふたりだけの間で流行る言葉とか仕草とかばかみたいばかみたい」

「いつの日か官僚になる友達をジギタリス咲く裏庭で抱く」

金平糖ひとつふたつと打ち上げて上手に食べるようなしあわせ」

「こいびとが三人いれば三倍のしあわせかしら に答えられない」

「でも あれはつばさだったよ まわされた腕にこたえたときの戦慄」

「月を冷やすような仕事をしてみたらたぶんこれから少し楽しい」

「過去は雨、白くまぶしい花の雨、今は夢、もうこんなのは夢」

「ずっととけない氷がほしい あなたとはほんとうに家族になりたかったんだよ」

「きみの目にすみれの匂う墓地がある ひとを内側から刺したいよ」

「愛してるどんな明日でも生き残るために硝子の弾丸を撃つ」