むらさきのスカートの女

淡々とした語り口の中に潜む狂気が、だんだんと明るみになっていくまでの、手腕がすごい。

気づいたら、ずいぶん遠いところまで来てしまったな、というかんじ。

日常に突如として現れる悪意は、いつもこんなかんじで、あまりに突拍子もないから、いつの間にかずるずると受け入れてしまってる、みたいな。

本当は、決定的に異なる世界を生きているのに、自分のストーリーを生きているだけなのに、まるでずっと前から知り合いだったかのように、お互いにうまいことたち振る舞うのが社会なら、そんなことは無意味だっておもわせてくれる誰かを待ってるだけなのかもしれない。