ドーン

ちょっと物語がすごすぎて。本当に賢い小説家。計算し尽くされてる感じが平野啓一郎らしいなあと思う。
人が変わる時というのは、ひとつのディヴを、気に入ってほかの人間との関係にも採用すること。誰かの影響を受けつつ、最後は内発的な決断によって、というところ、すごく納得した。


「正しいことを誰かが語っていると感じた時には、決して言葉だけを記憶してはならない。その人間の顔と声とを必ず一緒に記憶するのだ。」
「自分ひとりでは、到底手に負えないほどの時間を、日の出とともに毎朝どっさり届けられて、どうしたものかと途方に暮れている時に、思いがけず彼が訪ねてきて、さり気なくそれを分担してくれることがうれしかった。」