高橋源一郎、こんなに攻めた作品を書いていたとは知らなかった。
めちゃめちゃあけすけに、ユーモアを織り交ぜながら、わりと過激な内容が進んでいく。差別発言的なものもばんばん出てくるし、けっこう圧倒されてすごいなと思った。
人間の、醜くて惨めな部分をきちんと書いている。
主観が移り変わっていくかんじがおもしろかったり。読者よ、とか、いきなり語りかけてきたりする。
「男たちは、本能的に、自分がいま性交をしている相手がどんな女であるかを知っているのだった。」
「Nの気持ちを暗くするようなことはなにも話したくないからだ」
「みんながやってるから、やらなくちゃいけないと信じてるだけで、ほんとはそんなにやりたいとか思ってないんじゃないですか?」
「わたしのいちばんの望み、それは、少女たちの絶望する表情を眺めることだからだ。」
「Tや、その他の少女たちにしたようなことが、Nに知られたら、わたしは死を選ぶだろう。」
「生まれてから一度もいいことがないって、どんな気分かわかるかい?」
「あるいは、絶滅動物ばかりを集めた動物園の檻の中に閉じこめられたような気がした。」