愛は束縛

サガン、2作目を読んだ。

こんなにもじっくりとたっぷりと、人の本質に踏み込んでいくような恋愛小説は流石だ。2人の価値観の違いがどんどん浮き彫りになって束縛が苦しくなっていく過程がよく分かる。

自分の中で、いろんな感覚が次から次へと湧き上がって、何がなんだかわからなくなるようなところも。

ドラマティックで、本質的。フランス語で読んだらまた違うのだろうな。

 

「なぜ自分の忠告どおりにしなかったのかと他人を問い詰める時、忘れていた、という理由では決して納得しない。本当に、ただ単純に、忘れていたとしてもだ。」

「ローランスは頭はいいが、機知はない。金づかいは荒いが、気前のいい鷹揚さはない。美しいが魅力はない。献身的だかやさしさはない。機敏だが生き生きはしていない。人を羨むが自らの願望はない。彼女は、人を中傷するが憎しみは持っていない、自尊心は強いが誇りはない、親しげだがあたたかさがない、感受性は強いが傷つくことはない。彼女は率直さが誠実ではない、臆病だが恐れを知らない。そしてつまり、情熱はあるが、愛がないのだ。」

「そして、人の勝利、もしくは破滅を宣告するのに、伏せて置かれた二枚のカードほど、品位あるものはない。」

「ぼくたちは今、世界中で最も美しい街と、最も幸せな男だった」