すばらしい新世界

池澤夏樹の、4作目。
現代科学とは、何かについて、考える。
ずっと考えてきたようなテーマだ。
これ以上の便利なんて、いらない。もう十分だ。
自分で、何が必要で何がいらないか判断したい。
自然の中で、生きていけるようになりたい。
だからこそ、ものをつくれる人間になりたい。

この作家さんは、詩的であると同時に、ひどく論理的だ。
「どんなに変わった奴でも、どこかに居心地のいい場所を見つけてやって、力を発揮させて、幸福にしてやる。そういう度量が社会の側に欠けているのだろう。」
「わたしたち大人から見ればなんでもないようなことに引っかかって、自分は無力だと思い込んで、帰ってしまう。」
「しかし、この人はそのまま愚痴の多い老人になるのではなく、自分の合う場所に移動してしまった。」
「結局、わたしたち日本人はあまりに現世だけを見て生きてきたのです。」
「そう、わたしたちは空っぽなんです。」
「現代的な生活の問題点は便利という尺度がすべての動機になっていることである。」
「文化ぼけ」
「自分がいない以上は世界はないも同然で、そこに生活があり、社会があったというのはたしかにどう考えてもわからないことです。」
「ものごとの背後に理由を求めない。」
「形容詞が多すぎる文章には用心した方がいい、」
「日本では危険は見えないようになっている。」

COCOちゃん

イラストレーターのサカモトリョウさんの描くキャラクター、COCOちゃんが好きです。最初は、LINEのスタンプで見つけたけど、下北歩いてたら手帳買っちゃったり、ファイル買っちゃったりしたら、COCOちゃんのものがいつの間にかふえてました。

去年のクリスマスに、恋人が「COCOちゃんのおてがみ」と「COCOちゃんの絵日記」を買ってくれて、たくさんのイラストが見れるようになって。言葉の使い方も、色の使い方も、ちょっと雑なタッチも、感性が大好き。

メルヘンなこと言うと、現実的じゃないっていう批判をしばしば浴びるけど。想像を抑え込むというのは、時に暴力に近いことのような気がする。

こういう、好きなものたちをこの世に生み出してくれるひとたちには、私は感謝しかなくて、こういう人たちがいるから生きていけるのだなあと思う。

不思議惑星キンザザ

知人に勧められて、ロシア映画、はじめてみました。というか、SFというジャンル自体も何億年ぶりだろう、と思います。

何とも、不思議な映画だったな。

既定概念が吹っ飛ぶような魅力のある映画だった。言葉とか、物の価値とか、人種差別とか、地球では当たり前のことが、全然当たり前ではなくて、主人公と一緒に、映画が進むにつれて少しずつキンザザの常識を学んでいく。マッチが何よりも高価なこと、権力者であるエツィロップは頭に光る飾り付けてること、黄色ステテコや赤ステテコ、ほとんどはクーで会話すること、、、。

こう考えると、地球で常識と思われてることが、どれだけヘンテコなことかとか、そういうの、分かる。子どもの頃は確かに疑問に思っていたことなのに、疑問を持っていたことすら忘れてしまうんだ。

カルテット

少し前に流行ったドラマ、「カルテット」を一気にみました。おもしろかったなー。キャストが最高。昔から、満島ひかりが大好きだけど、このドラマのすずめちゃんは今までで一番かわいかった。松たか子の謎めいたキャラも、高橋一生の神経質なチャラ男も、松田龍平の実直な金持ちも、全部実在してるみたいに、生き生きとしてて、4人の掛け合いが鋭くて、あったかくて、楽しかった。4人並んで歯磨きしてる描写とか、大好き。みんなの片想いとか、嘘とか、唐揚げとかごみとかに関する議論とか、夫婦に対する疑問とか、生き方とか夢とか。脚本が、素晴らしい。

家族じゃなくても、おもしろいひとたちに出会って、一緒に暮らしたりするの、もっと世の中に広まってもいいんじゃないかなと思う。最近は、1時間だけ会って、カフェで話して帰るとか、そういう関係性が増え過ぎて。誰かと、嘘がなくなるまで、お互いを認め合って、一緒に暮らすことができたなら、って思う。

 

落下する夕方

江國香織は、短編のイメージが強かったけど 、「落下する夕方」読んで改めて凄さが分かった。
この人は本当に、言葉に対する感覚が、研ぎ澄まされている。ていねいにていねいに、瞬間を描くことで、心の移り変わりが鮮やかに、いつのまにか訪れている。あとがきに、「私は冷静なものが好きです。冷静で、明晰で、しずかで、あかるくて、絶望しているものが好きです。」ってあった。
よしもとばなななんかにも感じるけれど、自らのスタイルやポリシーを文章に込めて、小説として世の中に送り出している気がして、かっこいいなと思う。

「たとえば、二人の人間のあいだに生じる嫌悪感なり倦怠感なりというものを、一方だけが感じてもう一方が感じない、などということがあるのだろうか。」
「ハヴァ·ナイス·ライフ」
「私がいかにも普通の顔で、こんにちはなどと言えたのは奇跡だ。」
「かつてそんな風に馬鹿馬鹿しく幸福だった私たちのために。」
「どうかしている。」
「それはもう、あっけにとられるような自然さだった。」
「おかえりなさい。子供が言うような言い方だった。私は胸が一杯になる。1ミリグラムの誤差もなく、言葉が正しい重量を持っていた。」
「華子がめずらしく新聞をひろげその上に横になって、こうやっていると焼き芋になったような気がするわ、と言った。」
「誰もしっかりなどしていないのだ。私もスティーブも、バスの運転手だってきっとしっかりなどしていない。それでも一人でやっているのだ。」
「コントロール、悪いんじゃないの。」
「いい気な大人は叱られるけど、子供はいい気なもんでもかまわないからだってさ」
「私、期待されるの大っ嫌い。」
「私はシカ。それも雄のシカになりたかった。」
「昔よりももっと、私は健吾が好きになっていた。母親みたいに。友人みたいに。そして、それでもやっぱり恋人みたいに。」
「藪内さんに関しては、梨果さん脳味噌がとけてるわ」
「はなこは他人を傷つける。それは事実だった。」
「あのとき帰る場所がなかったの」「その言葉があんまり心底寂しそうだったから、ああそうかって、思っちゃったよ。俺のそばにいたかったわけじゃないんだなってさ。」
「私たちは二人とも、華子で胸を一杯にしていた。」
「私にも信じてるものはあるのよ。」「そのことをみせたかったの。」
「華子がくれば、お葬式ももっと楽しかったのに。」
「引っ越そうと思うの」

six loungeとtetora

2つのバンドの新曲を今日いっぺんに聞いて、久しぶりにわーってなってる。まっすぐなロックに、胸が撃ち抜かれた。
six lounge「カナリア」とtetoraの「抱きしめてるもの」。
どっちもthe ninth apolloだね。マイヘアも、ハルカミライも、hump backも大好きよ。

six loungeは、ほんと、かっこいい。ゆうもりくんの声と、シンタロウくんの言葉のセンス。3人そろった時の完成度がほんとに高いです。破壊的な色気がある。「カナリア」のサビ、いいなあ。

tetoraは、ボーカルのはゆねちゃんの人を引きつける声と、容姿と、生き様と、言葉と。

心から良いと思えるものが見つかるのは、本当に幸せで、ソワソワして、ゾクゾクして、眠れない。

めまい

ヒッチコックの「めまい」見ました。
独特の脚本がおもしろかったです。
サスペンス·ミステリー要素もあって、展開が読めない。正義が勝つとか、そういう単純な話ではなく、いろんなことが予期せず起こる。
そして、ちょっとサイコパス
自画像を好きな人にプレゼントしようとして、「Stupid stupid」って、頭掻きむしる女の子がかわいかったです。