すばらしい新世界

池澤夏樹の、4作目。
現代科学とは、何かについて、考える。
ずっと考えてきたようなテーマだ。
これ以上の便利なんて、いらない。もう十分だ。
自分で、何が必要で何がいらないか判断したい。
自然の中で、生きていけるようになりたい。
だからこそ、ものをつくれる人間になりたい。

この作家さんは、詩的であると同時に、ひどく論理的だ。
「どんなに変わった奴でも、どこかに居心地のいい場所を見つけてやって、力を発揮させて、幸福にしてやる。そういう度量が社会の側に欠けているのだろう。」
「わたしたち大人から見ればなんでもないようなことに引っかかって、自分は無力だと思い込んで、帰ってしまう。」
「しかし、この人はそのまま愚痴の多い老人になるのではなく、自分の合う場所に移動してしまった。」
「結局、わたしたち日本人はあまりに現世だけを見て生きてきたのです。」
「そう、わたしたちは空っぽなんです。」
「現代的な生活の問題点は便利という尺度がすべての動機になっていることである。」
「文化ぼけ」
「自分がいない以上は世界はないも同然で、そこに生活があり、社会があったというのはたしかにどう考えてもわからないことです。」
「ものごとの背後に理由を求めない。」
「形容詞が多すぎる文章には用心した方がいい、」
「日本では危険は見えないようになっている。」