思い出を拾う

うしろばっかりみてると前に進めない。

だけど、前を見続けて、来た道を忘れてしまうことがどうしても怖い。どっから来たのか忘れてしまうことが何よりも怖い。

他の誰も覚えていなくても、私だけは覚えていたい。いや、皆に忘れられたものこそ、私が思い出さなきゃいけないと思う。

思い出は拾い集めなきゃ。
そのために写真をとるの。
帰り道を失ったヘンゼルとグレーテルみたいに、路頭に迷わないように。

素敵な思い出は特に逃さない。
この世がそう悪いものじゃないってことの証拠になるから。いつか生きることに迷ったときにすがりつくことになるかもしれないから。

そうやって、振り返ってばかりだから、窓から見える景色は見えないまま過ぎ去っていくの。