コンセント

田口ランディの著書、はじめて読んだ。
想像の3倍くらいすごかった。すごすぎる。
コンセントという言葉の意味合いが、作品の中でだんだんと変容していくその文章力とか発想力が抜きん出ている。
あと、ここまで容赦なく性を書ききることのできる女流作家って、そんなにいない気がするから。言われてみれば、たしかに村上龍に通ずるものがあるかも。

「そうだ、この人たちは肝心なことは何も言わないのだった。」
「忘れてしまうというのは覚えておく必要がないからです。」
「自問自答する人々は自分に都合の悪いほうへ悪いほうへと考えを飛躍させる。」
「家族全員、兄の死の責任は自分にあると感じていて、一番気の弱い父がその事実を受け止めることができず母に甘えている。」
「支配されることは支配することと同じだから。」
「このままだと自分が壊れる、そう思ったからだ。」
「この分裂症の少年はコンセントが繋がっている時だけ、生きることができるのです」
「なぜ、自分はこんなにも生きがたいのか、そう兄が私に問いかけているのだと感じた。」
「この人、死ぬのかしら。」
「ああ、すげえ嬉しそうやった。なんか、俺、抱いててせつなくなった。こいつって何なんだろうと思って」
「ものすごく大事なことを教えられた。」
「眠りは、なんという懐かしい癒やしだろう、そう思った。」
「私はいったい、どういう世界でどんな役割を果たすために存在しているのだろう。」
「お前と寝ると、忘れてたことをたくさん思い出すんや」
「あなたの知っている朝倉ユキとして、最後にあなたのことを思った。」
「私たちはずっと脅えて生きてきた。自分たちのナイーブさを恨みながら。世の中の傲慢さを憎みながら。」