ささやかな恋

気になるひとがいる。
なんでなんだろう。
気がついたらそのひとのこと見てる。
そのひとがどんなことで笑って、どんなことでは笑わないか、そんなことを気にしてる。
声が聞こえると、遠くにいても聞き耳を立てる。
右手をあげる癖までが愛おしい。
顔も服も好きじゃないのに。
存在は好き。
他の男の子と笑い合うのを見るだけで幸せな気持ちになる。
他の女の子に笑いかけるのを見るだけで、苦しい気持ちになる。
圧倒的ではないこのささやかな気持ちはどこへゆくのだろう。
私がこの気持ちを伝えることはきっとないと知っているから。