恩田陸が教えてくれたこと

恩田陸の作品に、ずっと魅せられ続けてきました。

夜のピクニック、ユージニア、チョコレートコスモス、上と外、蜜蜂と遠雷、麦の海に沈む果実、ロミオとロミオは永遠になどなど。

 

このひとは、本当に分野が幅広い。ファンタジー、ミステリー、青春・学園もの、SF,ホラーなどなど。言葉で自由自在に世界や登場人物を操っているように見える。

夜のピクニックは、いまのところ人生でただ一つ、3回読んだ小説で。それぞれ感じることが違うから、こころが動くためのタイミングの大切さについて、教えてくれた本だと思う。

「ノスタルジーの魔術師」と言われているけれど、人物を描くときの素朴さや自然さに由来するのかな。素朴で自然だけど、奥深いんですね。

 

久しぶりに恩田作品読んだ。「黒と茶の幻想」。

忘れないように、心に残った場面を羅列してみる。

 

「人間て、自分の手を動かさないとどんどん他人に対して冷たくなるし、想像力が鈍るのよね。自分ができないことって、心が狭くなるじゃない。」

「そうだった。あなたはいつもそうだった。そんなふうに少年のような目をして、いつでも残酷で本当のことを言うのだ。」

「ずっと黙っていられるってことはすごい贅沢なことだと思うよ。常に我々は誰かを説得しなきゃならないし、説明しなきゃならないし、笑顔を振りまいて敵意がないってことを示してなきゃあならない。」

「本当のことは、なぜいつもつらいのだろう。どうしてこんなに痛いのだろう。どうしてこんなに心を引き裂く言葉が罪ではないのだろう。」

「何が起きても、私のことを理解しようとしないでくれますか。」

「愛されるものはいつも傲慢だ。愛する側が自分を削って愛を注いでいることに気づかない。人は行為には敏感だが、愛されていることには気づかない。その愛が深ければ深いほど、相手には届かない仕組みになっているのだ。」

「正しいことは良いこととイコールじゃない。結局、人間って最後は好き嫌いで物事を判断するしかないんじゃないかなあ。」

「何も持っていない女ほど、相手に対する要求は高くなる。」

「愛の証明」

「マキオちゃんてあまり自分のこと分析しないよね、人のこともしないけど。」