TSUGUMI

この本は、はじめて読んだ吉本ばななの本だから、私にとっては特別。読んだ時、こころがギューッとなる描写に溢れてて、大切な小説。
性格が悪くて、きれいなつぐみ。
海のある町。
忘れられない夏のこと。

「それに、オレンジに光って暮れゆく空を見つめたまま私はちょっと泣きたくなった。」
「まわりにいる好きな人達になるべく親切にしたいと願いながら、ひとりで。」
「よくわかられてしまわないために、手をつくして汚くふるまうつぐみが見える」
「つぐみの心や言葉よりも、もっとずっと奥の方に、つぐみのめちゃくちゃさを支えるひとつの光があった。その悲しいほどつよい光は、本人も知らないところで永久機関のように輝き続けているのだ。」
「まるで刻刻と姿を変える夕方の空のように、いろいろな種類の別れに満ちたこの世の中を、ひとつも忘れたくないと思った。」
「恋をしていたつぐみの、鮮やかな笑顔。」
「夜の海に立っていた恭一がどれほどつぐみを好きかということも、陽子ちゃんの涙の重さも、それは伝えられない心の宝なのだから。」