俵万智の短歌集。
やっぱり独特の、素朴で、安心して、少し危うくて、色気があって、奥行きを感じる歌を書く人だなあ。
母の目線で子を読んだ歌がとても多くて、愛が伝わってくる。
いろんなことを、許してくれそうに思えてしまうのです。
「「鳴かぬなら鳴かんでええわホトトギス」平成の世を生きる息子は」
「「テロ」という言葉を君はいつどこでどんな文脈で知るのだろうか」
「ドラえもんのいないのび太と思うとき贈りたし君に夢の木の実を」
「いのちとは心が感じるものだからいつでも会えるあなたに会える」
「土砂降りの国道沿いを歩くとき苦笑の似合う男と思う」
「かすれゆく君の横顔「逢いたい」は逢えないという意味しか持たず」
「星の本を子と読みおれば「月までは歩いて十年」歩いてみたし」