新鋭短歌シリーズ

女の人が多いです。

新鋭短歌の好きだった歌たち。

ランダムで、静かで、やさしい歌がたくさん。

 

☆やさしいぴあの

「雨も風も光も春はやさしくて嫌いだなんて言えなかったよ」

「春風にちいさく震えている君のやわらかそうな真心だった」

「じゃあねって言うのはずるいまた会える気持ちになれる 君は旅人」

 

☆春戦争

「千年後の朝にもおなじ発音でおはようをいう人類へ 雪」

「ぼくはややおかしいけれどまっとうで 離島で黄色い自転車飛ばす」

「靴下を脱ぎつつきみに訴える 1+1を8にしたい」

ランボルギーニらんぽるぎーにランボルギーニ Lamborghini 男はバカだ」

「春戦争 いつまでもずっと開いてるぼくのノートに降りてこい、鳥」

「ほろびてもいいよときみは笑うんだ 雪原にちいさき生きものは跳ね」

 

☆声、あるいは音のような

「あおぞらはきょうもあおくて病院の窓窓窓の向こうを思う」

「気づかずにすれちがうこと首都にいてぼくらは何もつくれなかった」

「ラムネほど綺麗なものはほかにない海いろの瓶、ビー玉の聖堂」

「いつかみた雲のかたちのゆうぐれにたったひとりのきみをうしなう」

「「過去だったね未来だったね僕たちに今という場所どこにもなくて」」

「香ばしい笑顔のようにもういちど小学生から生きなおしたい」

「納期まで二ヶ月を切るぼむぼむと新たな人が雇われ増える」

「「泣かないで」きみは言ったねあの夏の朝はやさしいいきものだった」

「ひっそりとなにかが終わり夜があける名づけられない世界を生きる」