フラワーしげるさんの短歌集。
世の中への皮肉や反抗が、少し乱暴な形で投げかけられているようで、ロックの精神を感じる。
粗いかんじが心地よくて、地続きでつながってる気がする。でも時々優しくて、胸に残る歌集だと思った。
「映画をみてなにかを知ったような気になった夕方アルバイトでいやな思いをする」
「いいんだよもう人を殺してもよくなったんだ ほら テレビ ごらん」
「中学生のときにドラムにものすごく衝撃をうけて感動して将来ドラマーにならなかった」
「わたしの望むことはあなたがたのいない世界で春を見ることです」
「雨がふっているけれどおれはそうは思わない 濡れているがそう思わない」
「おまえのつくるものは甘いんだよ 傭兵とかやったことないだろ おれもないけど」
「宇宙船地球号という言葉をみてそうかそれでおれはずっと船酔いだったのかと思う」
「透明感のある右翼の男がずっとしゃべっている」
「食べるためには口を開かなくてはならない 面倒なことでございます」
「遠くから見るとぼくはいま単に青いLEDになって、あ、きれいなんて誰かが」
「きみは自分だけを愛しているわけではない動物と遠くの人にもやさしい」
「政府の者だ 条例によって おまえに花束を持ってきた」