江國香織の短編。
ちょっと洗練された大人の文学、という感じがして、10代のころに背伸びしたくてよく読んでた彼女の作品。
よしもとばななにかなり近い感じがする。女性のための作品という感じもする。
きれいな言葉たちが、やっぱり好きだ。
「ともかく、それが私たちのやり方なのだ。そんなふうにして、私たちはいくつかのかなしみをやりすごしてきた。」
「どうしてた?」「死んでた」
「どうしてだかわからない。あたしの心臓が泣き始めた。」
あとがきで、筆者が言ってたよ。
「人生は勿論泳ぐのに安全でも適切でもないわけですが、彼女たちが蜜のような一瞬をたしかに生きたということを、それは他の誰の人生にも起こらなかったことだということを、そのことの強烈さと、それからも続いていく生活の果てしなさと共に、小説のうしろにひそませることができていたら嬉しいです。」
「瞬間の集積が時間であり、時間の集積が人生であるならば、私はやっぱり瞬間を信じたい。SAFEでもSUITABLEでもない人生で、長期展望にどんな意味があるのでしょうか。」