君が住む星

池澤夏樹の、「きみが住む星」。
旅先から、恋人への、お手紙。
最後は、バイバイ。

美しい文章書くひとの文章って、どうして美しいんだろう。そういうひとの文章は、始めから終わりまで美しいのだから、ひみつを教えて欲しい。

「かぎりなくたくさんの条件をひとつ残らずクリアして、そしてきみがこの星に住むことになった。
その星のあちらこちらをぼくは見にゆくのだと思った。行く先々でぼくは風景や人々の中にきみのおもかげを見るだろう。それをきみに報告するだろう。そういう形で、ぼくは君への思いを伝える。きみはぼくの目を経由した自画像をたくさん受け取るだろう。旅をしているのが自分であり、見られている風景が自分であり、この星全体が自分なのだと知るだろう。」

「考えが走る」っていう手紙が良い。
走る車の数が多くなると、ぼくはきみに会いたくてしかたがなくなる。

「心のガラス窓」も良い。
時にはすごく硬い心の人がいて、そういう人が大急ぎでそばを走りぬけると、こっちの心にすり傷が残る。

「丘の上の家に住む日」
生きていくってのは、上から眺めたり、下から見上げたり、友だちと海に行ったり、犬を連れて散歩に出たり、花を育てたり、そういうこと全部だろう?