新鋭短歌シリーズ。鋭くて、予想できなくて、端的に心を刺されるような短歌たち。
大げさじゃなくて、日常に潜む若者の絶望が、たくさん言葉になったらいいなと思う。
言葉になれば、少なくとも、分かち合おうとすることができるようになるから。
日常の中で、言葉にできないことがあるから、文学があるのかな。
「ゆくゆくはきみもこどもをうめただろうべいべべべいべー炎を飲むかい?」
「ドラレコのように映しておいてくれ二十七歳のなにごとのなさ」
「朝焼けの根元にビルが突き刺さるそういう戦い方選んだんだろう」
「Fコード押さえられないあなたから逃げてくぼくを忘れられない」
「みんなぼくに死ねっていうよ とびきりのファッションセンスで屋上へ立つ」
「校庭が光庭だったらよかったなぼくらひかりのなかをかけっこ」
「もう二度とやってこない平成の夏、好きに生きて好きに死のうな」
「お砂糖とスパイスですがおとこのこぼくおとこのこですこしかなしい」
「みんな傘をもってるときだけもってない気がするぼくの顔って嫌い」
「川として生きていくから飛び込んでたまに呼吸の仕方を忘れて」
「かんたんに死にたくなくなるひとといるぼくのやっぱりどくだみ畑」
「新宿へ着くまで何度死にたいと思っても着く小田急線は」