ゼツメツ少年

複雑な入れ子構造を駆使した物語。
「きみの友だち」が重松清の中で一番好きだから、楽しかった。
いじめとか、自殺とか、そういう問題を小学生の視点から捉えるの、とっても上手な印象。
そして、優しい書き手だなあと思います。
想像力とは希望、想像力とは信じること。
大事なものがたくさんあるから、いじめがいがある、っていうのはそうかもしれない。でも、やっぱり大事なものは持ってたいもんね。捨てたくないもんね。

「どこに行っても、この絵を貼ったら、そこが俺のセカイなんだ、って。」
「人間には誰だって、どんなときだって、物語が必要なんじゃないか、って。」
「一所懸命くわしく説明すればするほど、寄せ鍋の中身よりももっと大きなところが、どんどんずれていってしまう。」
「それでも、死ななかった。」
「あの子たちが生きてきたことや、生まれてきたこと、誰かと出会ったり、誰かと別れたりすること···それにぜんぶ意味があったんだ、あの子たちの人生にはちゃんと大切な意味があったんだって信じられることが、ほんとうの希望なんじゃないかなって、って」
「現実にはありえない荒唐無稽な話や、できすぎのような人情譚を、ひとは、それでもそんなことがあるかもしれないと信じ、あってほしくないと恐れたり、あってくれたらいと祈ったりしながら、愛してきたのではないか。」
「大事にしていたものがどんどん壊れちゃって、つぶされちゃって、もう残り少なくなったっていうのがわかるから····怖いの、もう····」
「生きるっていうのは、なにかを信じていられるっていうことなんだよ」