タイトルも、装丁も、「カツセマサヒコ」という名前すら、世界観にあふれていて。
構成も、表現も、完璧に思えるくらい素敵だった。
たったひとつの宝物みたいな本になりうると思った。打算なく誰かを想う気持ちが最高純度だった。
社会人になってからの数年間の描写がドンピシャで刺さりまくった。
BUMPもRADもpillowsもくるりもミスチルもエレカシもフラカンもキリンジも。大好き。
作者の風貌がいかにも現代の若者、という風で、私小説なのかなと思いました。才能があふれてる。
映画も、黒島結菜が出ているので見てみたいと思ってる。
「大手の印刷会社に内定が決まると、両親は見たことないほど喜んで、僕はその顔を見て、あっさりと将来を決めたのだった。妥協だらけだった人生に、もう一つ妥協を押し込んだ瞬間だった。」
「あらゆるものには、優劣が存在しているとおもう。」
「ややこしい星ですよね、いろいろと。」
「逃げることも戦うこともできず、悶々と現実に耐え続ける僕が、今日も社会人三年目のサラリーマンを、なんとか演じている。」
「ただ、一度だけ特大のホームランを出す。そうしたら、それまでの三振は全て、チャラになる」
「肝心なときに、欲しい言葉をくれない人だった。いつも最後には、自分を選んでしまう人だった。」
「どれだけ周りがやめとけと言っても、たとえ法律や常識や正解が、二人を許さなかったとしても、僕が彼女と一緒にいたかった。こんなハズじゃなかった人生を、最後まで一緒に歩んでみたいと願ってしまった唯一の人だった。」