生きる意味

上田紀行著の、岩波文庫

教授だから、文章が的確で簡潔でわかりやすいうえに、情熱があっておもしろい。

現代の日本人が、どのようにして生きる意味を失っていったのかということが、専門的な時代背景とともに詳しく分析されている。

自分が被害者だと思えなくなるくらい、ぶれずにいたい。

 

「確かに生活状況はそれ以前より苦しくなっただろう、しかし、そうした苦しさを自分の命を奪うまでの「苦」と認識してしまうのは、私たちの「解釈」の問題だ。」

「私は透明な存在である、しかしその透明な存在が実在であることを認めていただきたい。」

「かけがえのなさの喪失」

「恥の文化」と「罪の文化」

「あなたを常に見つめている「人の目」を自我の中に内面化すること。」

「こうやって私たちは「世間にあわせる顔」をずっと生きてきたのである。」

「世間から後ろ指をさされないように、効率的に生きなさい。」

「遠近感なき経済システムと遠近感の中にある私たちの「生きられた場」の間には、明らかな対立が存在している。9.11がえぐり出したのは、こうした世界の構図そのものだったのである。」

「レクサスとオリーブの木

人間である労働者「ヒト」

「そもそも新自由主義は、自然な人間としてはありえない強度を持つ人間を標準として策定している」

「「数学」の犠牲として「生命の輝き」が失われる。」

「あなたはあなたの人生の主人公なのだと私は断言したい。」

「人生の満足度の高い人、それは「一点豪華主義」で生きている人である。」

「ときとして私たちは他者の喜びを奪うことで自分も安心するという戦略にはまってしまう。」

「自分の生きる現実と自分の中の「生命の輝き」の方向性が食い違ってしまったとき、そういった病に陥るべきときに「ちゃんと」病になること」

「人がワクワクすることをともに喜び、人が苦悩することをともに受けとめる。

グローバリズムが進み、「個」がむきだしになることで、中間社会が失われ、宗教的原理主義ナショナリズムにつながる。

「どうしてあんなにあたたかい人たち、思いやりのある人たちが集まっていながら、こんなに例刻に異質な人間を排除する社会になってしまうのかと愕然としてしまうのだ。」

「抱え込みか追放か」の会社

「<我がまま>が<ワガママ>に転ずるかどうか。それは、そこに自尊感情、自己信頼があるかどうかが大きな分かれ目になる。」

「オリジナリティとは何よりもまず「自分自身にオリジン(源)がある」ことである。」

「私は「弱いものいじめ」する社会が嫌いだ。」

「さあ涙をふいて

 あなたが花におなりなさい

 あなたの花をさかせなさい

 

 探しても探しても

 あなたの望む花がないなら

 自分がそれにおなりなさい」