JR上野駅公園口

上野のホームレスには、集団就職や出稼ぎで上京してきた東北出身者が多い、と知って、胸がぎゅっとなった。
東北の人々のあたたかさと厳しさ、素朴さと忍耐強さ、愛想のなさや商売っけのなさ、働き者で地べたに近いようなところ、卑屈さと懐の深さ、とか。私の胸を締め付ける。

柳美里の小説は、圧倒的な絶望が描かれる。世の中に対する真摯な態度が文章にあらわれていて、かっこいい人だなあと思う。

「容姿よりも、無口なことと無能なことが苦しかったし、それよりも、不運なことが耐え難かった。運がなかった。」
「驚きと悲しみと怒りが余りにも大きくて、泣くことなどでは釣り合わない気がした。」
「明日も、これからも、ずっと死んだままだ。」「努力をしている、と思った。努力から開放されたい、と思った。」
「いつも居ない人のことばかりを思う人生だった。」「居ない人の思い出の重みを、語ることで軽くするのは嫌だった。自分の秘密を裏切りたくなかった。」
「今日は今日のままで、もう明日に向かって開くことはない。」