雨の日のイルカたちは

せかちゅうの作者だとは。
思ったより純文学ではないか。
9.11が人間に与えた影響の描き方がとってもおもしろかった。
今も、世界は混乱してる。
「暗黙のうちに、これだけはなされないと思われていたことが、現実になされてしまった。ここは見捨てられた世界、時間からこぼれおちた世界だ。」
「誰も時間の内部に入り込めない。想像力が届かないからだ。」
「買ってから後悔するためにお金を使っている。そのお金を稼ぐために、自分を少しずつ切り売りしている。」
「生きるために、ビルから飛び下りたんだろうなって」
「どこまでも現実感の薄いわたしたち。」
「強そうなふりはしているけど、本当はうんと弱い存在。そういう思いが、いまの自分を支えている気がする。」
「人を殺してはいけない、ということは、戦争では人を殺していい、ということと同じだ。」
「おれたちはみんな負け続けている。」
「あの連中にとって生きることは、それほどまでに狂おしく激しいものなのだ。そのことがショックだった。」
「神様みたいなやつが第三者的な目で見ると、生きているのは彼らの方で、おれたちは死んでいる、そんなふうに見えるんじゃないだろうか。」
「死ぬことは、生きることとは関係がない。」