笹井宏之。
とても好きになった歌人。
若くして亡くなってしまった歌人。
この星に消灯時間がおとずれるときも手を繋いでいましょうね
空と陸のつっかい棒を蹴飛ばしてあらゆるひとのこころをゆるす
ふわふわを、つかんだことのかなしみの あれはおそらくしあわせでした
悲しみでみたされているバルーンを ごめん、あなたの空に置いたの
今夜から月がふたつになるような気がしませんか 気がしませんか
かんぺきなかたちのひとをみつけても遠い島だとわりきってやる
ひきがねをひけば小さな花束が飛びだすような明日をください
社会的すっからかんがある朝に泉になっていることもある
ゆっくりと私は道を踏みはづす金木犀のかをりの中で
みんなさかな、みんな責任感、みんな再結成されたバンドのドラム
生きてゆく 返しきれないたくさんの恩をかばんにつめて きちんと
風をのみ川をひらいて朝焼けの、どこにもいないひとになります