アンテナ

田口ランディの三部作、読み終えました。

濃厚で、不思議で、官能的な物語。少し、狂ってる。

最後の方、少し置いてかれるところもあるけど、ぐいぐい引き込まれていく魅力がある。

文学でしか、表現できない世界観が、たしかにあるんだなあと思うのです。

「狂気が不条理なのではなく、現実こそが不条理だから人は狂うのだ。生きるために少しだけ狂うのだ」

「おかげで僕は頭のどこかがいつもエラーしている、そんな感じだ。」

「彼の人生の責任がとれるのは彼だけなんだ。それが人間の尊厳だと私は思う。」「信仰を始めてから、母はかなりボタンを掛け違えているけれど、掛け違えているなりに安定していた」

「SMはね、私が思うにみんな基本がMなの。ベースにMがある。だからMの喜びがわかる」

「妄想は自分しか救済できないんだ」

「セックスは膨大な情報の送受信だ」

「逃げるのはやめよう」

「それを欲している相手にしか伝えることができない事柄が、この世の中にはたくさんあるんだね。」

「そうだよな、あたりまえのことだよな。ふと、そう思い至って、僕は少し悲しくなった。」

「自分がわからないことを自分のために考えることが哲学だと、あなたは言ったわよね。」

「私に会いたくなったら、あなたのアンテナで私を探してね。この世界のどこかで、あたしはいつもあたしの言葉を紡いでいる。だから、目を閉じて、時々あたしを感じて。」