金原ひとみの小説。
バランスを失っていく人を書くのが本当に上手。読んでいて、こちらが心配になってしまう。でも、小説の中では、狂気が正当なものになりうる。
なんだか金原ひとみの書く女性はほとんど不倫しているなあ。
死んだほうがマシなんてこと、本当にあるんだろうか。
「その言い訳は、しかも本心なのだ。」
「笑えるようなことではないのだ。その必死さは、彼には伝わらない。必死だな、という言葉の残酷さを、改めて思い知る。」
「相手の求めるものと自分の求めるものがぶつかり合って、少しずつ互いにとって心地よい距離感、関係性が表出し始めるものだ。」
「でもこの歴史は、整合性が取れていなさすぎる。私は本気で、何がどうなってこんな現実の中に一人ぽつんと取り残されているのか分からなかった。」
「訳も分からず、彼女は準備万端である。」
「面倒なのは殻に閉じこもり誰とも心を通わせないまま、それなりに誰とでも問題なく付き合えてしまうところだ。」
「もう駄目だ。無理だ、全部嫌だ」
「俺はこんなことでしか彼女を喜ばせられないのか。だったら別に彼女を喜ばせたいという理由で心中するのも悪くないのかもしれない。」
「ガラス割って責められるより死ぬほうがマシでしょ?」
「つまりこの家は、性的欲求によってきれいになったと言える。」