サヨナラのない世界

私たちは、もはやサヨナラのない世界を生きているも同然だ。
ネットを通して世界のどこにいても誰とでもつながる世界になったのだから。
私たちは、サヨナラと言って別れたその3秒後に、スマートフォンにメッセージを送ることができる。

卒業後の進路が分かれる同級生や、海外で旅の途中で出会った人たちとのサヨナラ。
もう会うことができないという寂しさの代わりに、もう自分は連絡を取ることはないだろうという一種の後ろめたさを持ってサヨナラを言うことが増えてきた。

ホントのサヨナラは、消えてしまうことだけ。
サヨナラに慣れていない人たちばかりの世界で、それはいったいどんな意味を持つだろう。