山崎ナオコーラ

3作、一気に読みました。びっくりするほど自分と同じような考えが描かれてることがあって、文章の丁寧さがうらやましいなと思いました。
○美しい距離
「来年まで生きられると思ってないのだろう。でも、そういうことを言ってこちらを困らせる気もないのだろう。」
「これまではずっと、未来を見ることで明るく生きてきたのだから、未来を見ずに明るく生きる方法が、わからない。」
「マラソンをしているとき、テープを切る瞬間は特別かもしれないが、その瞬間を見守っている人たちだけが選手にとって大事な人ではないだろう。〜そして、走っているすべての瞬間がきらめいていたはずだ。」
「近いことが素晴らしく、遠いことは悲しいなんて、思い込みかもしれない。遠く離れているからこそ 、関係が輝くことだってきっとある。今は、離れていることを嫌だと感じている。でも、嫌でなくなるときが、いつか来る。そんな予感がする。」

○ニキの屈辱
「正しいとか間違ってるとか、いいとか悪いとかが、たとえわからなくなったとしても、ずっと味方でいよう。」

○浮世でランチ
「気の合う人を側に置き、意見の合わない友だちからは、そっと離れた。得意な科目は熱心に勉強し、苦手なものには一切、手を出さなかった。」
「次から次へと恋をすると、恋人に頼らず、たくさんの人に少しずつ支えられながらでも生きられるという感覚を学ぶのが、難しいので。」
「同時代に、彼女とこうしてすれ違ったことは、奇跡っぽいのだった。」
「でも私は、すぐに魅力が伝わってこない人が、自分の話がパッと通じない人と話すことを、時間の無駄であるかのように考えていたのだった。」
「今までたくさんの人が死んだのに、どうして地球はお墓で埋まらないんだろうね。」