すごくよくできた小説だなと思った。
古市君は、残酷な文章を書くイメージなのだけど、この小説では、少しロマンチック。
本当に、いろんなことへの偏見なく文章を書く人なのだと思う。
関係性の変化、それに伴う人間性の変化がとても繊細につづられていてすごいなあ。
誰かからの「裏切り」が、実はそうじゃないこともある。物事を、私たちは一方の方向からしか見えないから。
「ニュースにはいつも続きがない」で始まる冒頭部分とか、かっこいい。
「中学校、高校、予備校、大学と、新しい学校に入るたびに今度こそは誰かが見つかるのではないかという期待だけはあったのに、どれ一つとしてうまくいかなかった。」
「優雅に暮らすことが最高の復讐」
「港くんに恋人ができたら、僕はその彼にどんな表情で挨拶をするんだろう。きちんと祝福ができればいいけれど。」
「お姫様じゃないんだから、察して欲しいなんて思わずに、口に出したほうがいい。」
「だって勇気がない人は、才能を発揮することなく人生を終えていくんだから。」
「愛の言葉と言い訳は似ている。」